サンフランシスコで強盗事件が発生し、宝石店の店主の妻が殺害される。FBI捜査官スタンティンが捜査にあたるが犯人は盗んだダイヤモンドを持って逃走してしまう。そして、犯人は、カナダの国境に近い山岳地帯に釣り客になりすましてカナダへ逃亡を計画していた。釣り客のガイドをしているサラは、FBIの捜査の前に、犯人と他の釣り客と共に山に入ってしまい、犯人に殺害される可能性が高くなっていた。スタンティンは犯人を追うために登山ガイドでサラの恋人のジョナサン・ノックスと共に犯人を追うのだが・・・

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１９８７年アメリカ作品。監督は、『アンダー・ファイア』『ターナー＆フーチ　すてきな相棒』などのロジャー・スポティスウッド、主演は『プラトーン』『誰かに見られてる』などのトム・ベレンジャーと、『夜の大走査線』のシドニー・ポワチエ。山岳地帯へと逃亡した犯人を追い、険しい山へ入ったＦＢＩ捜査官と、彼のガイドを努める男の追跡を描くサスペンス作品。

　都会のＦＢＩ捜査官が、犯人を追跡する為に、登山ガイドに助けられて険しい山に入るという珍しい展開の刑事映画です。コメディ映画ではありませんが、登山の専門家であるジョンと都会派の刑事が好対照で、かなり笑える場面が多くなっています。人間嫌いで山に住んでいる登山ガイドのジョンは、都会で生活しているスタンティンが足手まといになるので連れて行きたくはなかったんですが、スタンティンの熱意に負けて仕方なく同行する事になります。案の定、体力的についていけず弱音を吐き、お荷物になってしまいますが、お互いに助け合いながら犯人を追ううちに結束が強まります。最初は反発しながらも友情を深めるというのはよくある話ですが、断崖絶壁から宙吊りになったり、雪山で遭難しそうになったり、クマに襲われるなど山ならではの危険をくぐりぬけていく二人の姿は、かなり新鮮なスリルと楽しむ事ができます。そして、映画の後半では、状況が一変し都会での追跡になる為、立場が逆転してスタンティンが主導権を握っての追跡になり、都会派と自然派のコントラストがハッキリして最後まで飽きさせません。映画の前半では、誰が犯人なのかが分らない為、サスペンス的な要素も充分楽しめますし、美しい山や湖、断崖絶壁の岩肌や雪山の風景まで楽しめるので登山が好きな方には格別の魅力があると思います。主演のシドニー・ポワチエは名作『夜の代走査線』に出演したときよりコミカルで親しみやすい演技で楽しませてくれますし、トム・ベレンジャーも、人間嫌いの変わり者で、タフな山男というキャラクターにピッタリです。トム・ベレンジャーの主演作品の中でもトップクラスの作品だと思います。唯一の難点を挙げれば、時代のせいなのか、エレクトリックドラムを多用した音楽が山の雰囲気に合わず、ちょっとイライラしますが、それさえガマンすれば、かなり楽しめる作品だと思います。

人嫌いなんだよ

　個人的な感想ですが、山を愛する人は心のキレイな人が多いような気がします。山の美しさに魅せられた人は、ゴミゴミした都会での生活を嫌い、休みになると都会から逃げるように山へ向かう人も多いと思います。みんなが人間嫌いというわけではありませんが、私利私欲の為に人を騙し、裏切り、エゴをむきだしにする人間に囲まれていると、そんな人間たちから逃れて山の美しい風景や、新鮮な空気で心も体も癒したいと願うのは自然なことかもしれないですね。

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