１９６７年、クリスは、両親の俗物主義に反発して大学を中退し、ベトナム戦争に志願してベトナムの前線に配属される。前線での兵士の環境は、慣れない気候、重装備での移動などで、想像を絶するほど苛酷なものだった。クリスが所属する小隊の隊長バーンズは、任務の為には違法行為も辞さない冷酷非情だったが、班長のエリアスは、前線にいながらも人間性を失わずに任務遂行しようとしていた。そんな正反対の二人の存在で、クリスの小隊は分裂し、不穏な空気が流れ始めていた。ある日、戦闘の最中にエリアスが孤立し、バーンズが救助に向かうのだが・・・。

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　１９８６年アメリカ作品。監督は『ウォール街』『ドアーズ』などのオリヴァー・ストーン、出演は、この作品で注目を浴び、『ウォール街』などにも主演しているチャーリー・シーン、『最後の誘惑』『ＢＯＤＹ・ボディ』などのウィレム・デフォー、『誰かに見られてる』『新・明日に向かって撃て！』などのトム・ベレンジャー。フォレスト・ウィテカー、ジョニー・デップなどの名優も出演しています。ベトナム戦争に従軍した事のあるオリヴァー・ストーン監督が、自分の従軍体験を元に、ベトナム戦争の真実を描いた衝撃作。

　私にとっては、今までで一番ショックを受けた作品で、最初に観た時はショック状態で、しばらくは口もきけませんでした。戦争シーンの迫力や、生々しい軍隊での生活描写も凄かったんですが、一番ショックだったのは、１０代、２０代という若い兵士が、貧乏で仕事が見つからないという理由で従軍し、前線で地獄の苦しみを味わっているという事でした。ショックから立ち直り、気持ちが落ち着いてから何度を映画館に足を運び、結局、映画館で６回鑑賞しました。この作品で描かれている兵士ように、教育もまともに受けられない環境で育った為に仕事がみつからず、軍隊に入る以外に収入が得られないような人に比べれば、日本に暮らす私たちは、本当に恵まれています。甘ったれた環境でボーっと暮らしている自分が情けなくなり、激しく反省したのを今でも覚えています。楽しい気分になれる映画では無いので、落ち込みたくない人にはすすめられませんが、アカデミー賞作品賞を獲得するほどの名作なので、映画ファンなら一度は観ていただきたい作品です。

俗物主義に反発したんだよ

　オリヴァー・ストーン監督は、実際にベトナム戦争に従軍した経験があるようですが、ベトナム戦争に志願した理由は、両親の俗物主義に反発したのが原因だったようです。ショーン・ペン監督の『イントゥ・ザ･ワイルド』の主人公も両親の俗物主義に反発し旅に出てしまいますが、こういうタイプの親は、世の中には結構多いような気がします。経済的に裕福で、金で全て解決できると考えている人間は、自分の事ばかり考えていて、貧しい人や不遇な人には関心が無く、他人に対しての思いやりにかけているタイプが多いので、オリヴァー・ストーン監督の気持ちも分るような気がします。自分の財産にばかり気を配り、苦しんでいる人を見ても無視するような人間に対して嫌悪感を持っている人なら、この作品でのオリヴァー・ストーン監督の意図に共感できると思います。

汚いことやめろ

　少女をレイプしようとする仲間たちをクリスが怒鳴りつけます。戦争だから何をやってもいい、敵の国の女だからレイプしてもいいなんて考えは最悪ですが、そんな考えが当然の事のように通用してしまう戦争という狂気に満ちた環境は、本当に恐ろしいです。善人ぶるつもりはありませんが、私だったら、怒鳴るだけではなく、半殺しにしてしまいそうです。

 

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ベトナム戦争ブーム

　この作品が公開されるまでは、ベトナム戦争を否定的に描くことがタブーとされていた為、本格的なベトナム戦争の映画はありませんでしたが、この作品の公開が大ヒットしたのがきっかけになり、次々とベトナム戦争をテーマにした作品が公開され、ベトナム戦争ブームが起こりました。この作品が最も評価が高いと思いますが、スタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』、ブライアン・デ・パルマ監督の『カジュアリティーズ』、バリー・レヴィンソン監督の『グッドモーニング・ベトナム』などの名作が生まれました。

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