１９４６年インドの修道院で生徒の指導をしていたマザー・テレサは、修道院の中ではなく、カルカッタの貧しい人々の中で働きたいと考え、『神の愛の宣教者会』を設立し、宗教、宗派を問わず、飢えや病気で苦しむ人の為に働くようになる。はじめは一人きりでの活動だったが、マザー･テレサの行動に共感を持つ教え子や、ボランティアの人たちの協力により、『神の愛の宣教者会』の活動は、世界中の人々に伝わり、多くの支援、協力を得るようになる。

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　２００３年イタリア作品。監督は、ファブリッツィオ・コスタ。主演は、『ロミオとジュリエット』のオリビア･ハッセー。『神の愛の宣教者会』の創始者として一生を貧しい人、病に苦しむ人の救済に捧げたマザー･テレサの伝記映画。　

宗教、宗派や人種にこだわらず、飢えや病気に苦しむ人々に愛情を注いだマザー・テレサの伝記映画。主演のマザー･テレサを演じているのは、この役を熱望して志願したオリビア･ハッセー。マザー･テレサに関しては日本でも書籍、テレビ番組などで何度も紹介されているので、ご存知の方も多いと思いますが、映画という親しみやすい形でマザー･テレサの人間としての行き方や、活動を知ることが出来るのは、本当に素晴らしい事だと思います。マザー･テレサの長い活動を２時間の映画で紹介するのは無理だと思いますが、マザー･テレサの生き方、人々に与えた影響の大きさを物語るエピソードが、ユーモアを交えて描かれていて、素晴らしい作品になっていると思います。

　マザー･テレサは、ガンジーと同様に、『こんな人が、本当に地球上に存在したのか？』と、疑いたくなるほど素晴らしい人間なので、映画を観終わった後に、自分の事ばかり考えて生きている自分が恥ずかしくなります。映画の出来がどうこうではなく、こんな素晴らしい人が、地球上に存在したという事を知るだけでも、この作品は価値があります。マザーは常に、神の使いとして、自分が人々の為に何ができるかを考え、最善を尽くしています。毎日休みもなく、朝早くから深夜まで、無償で人の為に働き続けるという事は、本当に大変なことだと思いますが、もし今度生まれ変わって、女性に生まれたら、マザー･テレサの作った『神の愛の宣教者会』で働きたいです。

カルマ（因果応報）という言葉を信じますか？

　マザー･テレサの熱意に負けて、グプタ医師が救急車で診療に向かうシーンは、ユーモアがあり笑えますが、マザーが助けた人々が、何年か後に、マザーの窮地を救ってくれる巡り会わせは、少なからず因果応報が感じられます。マザーがイエス･キリストから告げられたという『わが兄弟たちに、お前がした事はすべて、私にした事だ』という言葉は、自分の行いは、すべて自分に帰ってくるという、因果応報を暗示しているようにも感じられます。

都会の飢え

　都会の貧困は、田舎の貧困より深刻という言葉には衝撃を受けました。食べる物がなく飢えるのもツライですが、人間関係が冷え切って、愛情に飢えることの方が、もっとツライことだとマザーは知っていたようです。物質的に豊かになった反面、人間同志の信頼関係、愛情が希薄になり、利己主義が蔓延する都会生活は、食べ物に困る生活以上に過酷なものになっているのかもしれません。

 

与えられた試練

　イエス・キリスト、ブッダ、ガンジー、チェ･ゲバラなど、偉大な人には多くの試練が与えられるようです。マザー･テレサも例外ではなく、投資家に利用され汚名を着せられたり、慈善活動の方法を批判されたりと、かなりの中傷があったようです。売名行為や、利権の為にマザー･テレサを利用するような人間には怒りを感じますが、様々な試練も、マザー･テレサの信念の強さ、信仰の強さによって、すべて解決されていきます。映画を観終わった後に、人生に対する考え方が変わってしまうと思うので、希望を失ってしまっている人、どうやって生きていけば分らなくなってしまっている人には、是非観ていただきたい作品です。

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マザー･テレサ

オリビア･ハッセー

 

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