２００８年、アメリカ作品。監督は、『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケル。出演は、『シャンハイ･ヌーン』のオーウェン･ウィルソン、『ロックスター』のジェニファー･アニストンなど。アメリカでベストセラーになったジョン・グローガンのエッセイを元にしたハートフルコメディ作品。
動物を扱ったファミリー向け作品は、興行的に成功しやすいのでディズニーなどの得意分野ですが、本作は、作家の実体験を元にした作品なのでリアリティがあり、動物好きの人にも、これから犬を飼おうと考えている人にも興味深く楽しめる作品です。実話ならではの生々しいトラブルの数々は、犬を飼った事の無い人には爆笑ネタですが、愛犬家の方なら苦笑してしまうようなエピソードも多いはずです。基本路線としては、ペットの犬と人間との絆、愛情を描いた作品ですが、新婚カップルが、子育てや引越し転職などを経ていく姿も描かれているので恋愛映画としても楽しめますし、世の中のお父さんお母さんにとっては、共感できる要素の多いファミリードラマとしても楽しるでしょう。オーウェン･ウィルソンとジェニファー･アニストンの抜擢も大成功。オーウェン･ウィルソンは目立ちすぎずに持ち味を生かして笑わせてくれますし、ジェニファー･アニストンのキャラクターも、小学生ぐらいの子供のいるお母さんとしては魅力的です。実話ならではのリアルな感動が楽しめる娯楽札としてオススメできる名作です。この作品は、本当に何度観ても爆笑して号泣してしまいます。
色々な意味で生々しさのある作品なので、特にオススメできる年齢層は、やはり小さな子供の居るご家庭のお父さんとお母さんですね。本作では、マーリーが子犬の頃から亡くなるまでが描かれているので、愛犬を亡くした経験のある愛犬家には、共感できる要素が多いでしょうし、まだ犬を飼った事の無い方にとっては、犬を飼うには色々と覚悟しなければいけない事があるという点を学べるでしょう。そして、主人公ジョンとジェニーの物語では育児によるストレスからマーリーに八つ当たりしたり、家事の分担でケンカになったりと生々しい描写も多く、育児に苦労した人ならリアルな描写に共感する人も多いと思います。実話がベースになっている作品は、視聴者が共感できる要素が多いのも魅力です。
この作品の主人公のマーリーは、とにかく直情型で、まったく理性が無いと言うか、急に走り出したり、色々な物を壊したり、車から逃げ出したりと飼い主にとっては苦労の連続ですが、実際、私の飼っていた犬もこんな感じでした。車で出かけると走っている車の窓から飛び降りたり、私の靴や帽子をかじってボロボロにしたり、畳をかじられた時は、畳の張替えに１０万円以上かかって泣きが入りました。色々と大変でしたが、こういう奔放な犬は、いい意味で純真無垢なんですよ。だから、飼い主に対しても凄く愛情表現が豊かで、飛び掛ってきたり遊んで欲しくてジャレ付いてきたり、ホントに可愛いものです。躾をしても覚えないのは、まぁ、頭が良くないのかもしれませんが、頭が良くて薄情な犬より、おバカでも無垢な子供のように愛情の強い犬の方が私は好きです。
成功は、時に予想外なものだ
社会派記者として成功する事を夢見ていたジョン・グローガンですが、マーリーとのエピソードをコラム記事で書いて有名になってしまいます。友人の記者は麻薬戦争についての記事で有名になってしまったのに比べれば、不本意な形での成功ですが、こういう事って以外に多いような気がします。日本が世界に誇る名優である三船敏郎さんも、デビュー前は、映画撮影のスタッフを志望していて俳優になる事を嫌がっていたという話がありますし、アメリカの人気俳優ジョニー･デップもミュージシャンとしてのデビューを夢見ていて役者になってしまったというエピソードもあります。人生思うように進まない事も多いですが、思わぬところから成功や幸福がやって来ることもありますよね。
問題が起きたら、解決すればいい、あなたと一緒に
本作は、世界一おバカな犬マーリーの笑えるエピソードだけでなく、ジョンとジェニーの夫婦の絆も魅力的です。子育て、仕事など夫婦生活には色々な苦労が伴いますが、二人は互いに協力し合い困難な問題も快活していきます。こんな夫婦なら離婚したりしないんでしょうね。私は努力が足りなかったらしくて離婚してしまいましたが・・・。
愛すれば必ず答えてくれる
犬は人間の愛情に敏感です。飼い主が愛してくれるなら、その愛情を感じ取って、飼い主を愛してくれます。人間と違って愛してくれる人を裏切ったりしないんですよ。そういう意味では人間よりも信頼できるパートナーになり得るんですよね。犬しか信用できないような人生も悲しいですが。
