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ラスト・サムライ
 
The Last Samurai
●監督
エドワード・ズウィック

●キャスト
トム・クルーズ
ティモシー・スポール
ビリー・コノリー
トニー・ゴールドウィン
渡辺謙
小雪
真田広幸
■ ストーリー ■

 
 1870年代、日本の明治維新の時代、アメリカから軍事顧問として、南北戦争の英雄ネイサン・オールグレンが来日し、銃の扱いなどの指導をする事になる。しかし、オールグレンはアメリカ政府の政策に失望し、インディアンを虐殺した罪の意識から、酒びたりの日々を送っていた。敵側である勝元の率いる侍との戦いで捕虜となったオールグレンは、勝元の村で捕虜として暮らしはじめるが、次第に侍の生き方、勝元の生き方に共感するようになる。その後、日本人の武士道が崩壊しかけていることを憂慮する勝元と、近代化を進める政府軍の間で戦がはじまる・・・。


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■ レビュー ■


 2003年アメリカ作品。『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』『ブラッド・ダイヤモンド』などで有名なエドワード・ズウィックが監督 、主演は、『バニラ・スカイ』『ミッション・インポッシブル2』のトム・クルーズ、日本の誇る名優である渡辺謙、真田広幸、小雪などが出演。明治維新、時代の流れが大きく変わろうとしている時代に、軍事顧問としてやってきたアメリカ人と武士のふれあいを描いたアクション作品。日本人にとっては、日本の良さを再認識させてくれる作品になっています。

 外国人の監督が日本を舞台にした映画を監督すると、欧米から見た日本のイメージと、私たち日本人から見た日本のイメージのギャップが大きくなってしまう事が多いですが、この作品は、ある意味では日本人よりも日本を知っているのではないかと思うほど日本の良さを描いてくれています。 それどころか、私たち日本人が忘れてしまっていた日本人の良さを改めて教えてもらったような気がします。渡辺謙、真田広幸、小雪などの演技も秀逸で、特に渡辺謙は、この作品でアカデミー賞にもノミネートされました。また、日本の勤勉で礼儀正しい女性を見事に演じた小雪の演技も感動的でした。アメリカでの興行成績はいまひとつだったようですが、日本人なら絶対には一度は観ていただきたい作品です。きっと日本人である事に誇りを持ち、日本に生まれて良かったと思えるはずです。

神聖なる物を感じる

 敬虔なクリスチャンでもなく、宗教とは無縁だったオールグレンも、日本の自然の中に身をおいて暮らしはじめてから、大きな力、神聖なものを感じるようになります。調和の取れた自然の中にいる時、あるいは、登山などで味わえる心の充足感は、宗教的なものでなくても、心の平安を与えてくれますが、そんな宗教を超えた偉大な力を見事な映像で描いています。この映画を観るだけでも、普段忘れてしまっている神聖な何かを思い出させてくれます。

吐息のひとつにも命がある・・・

吐息のひとつにも、お茶一杯にも命があると語る勝元の言葉に、オールグレンは考え込みます。西洋の合理主義の価値観では、物質に命があるという考え方は理解しがたいと思いますが、日本人の私たちにとっては、何か懐かしさを感じさせる根源的な価値観を思い起こさせます。ひとつひとつのものに対しても、人に対しても、あるいは仕事に対しても、こんな気持ちで生きて生きたい!そんな気持ちにさせてくれます。


驚かされる人々だ

 この作品では武士道についても描かれていて、身の引きしまる思いがしましたが、『みな礼儀正しく、笑顔を見せる』『朝目覚めたときから、自分の努めに全力で励むそして、常に自分に厳しい』などなど、オールグレンが日本人に対して持つ感情のシーンには、日本人本来の生き方を教えてもらったような気がします。

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アカデミー賞助演男優賞にノミネート!

 渡辺謙さんは、この作品でアカデミー賞にノミネートされました。武士としての風格、鬼気迫る演技で、これ以上は絶対に無いというほど素晴らしい演技で、本命といわれていましたが、残念ながら受賞を逃してしまいました。受賞したのは『ミスティック・リバー』に出演していたティム・ロビンス。『ショーシャンクの空に』『ハイ・フィデリティ』などにも出演していますが、どちらかというとコメディ系の映画に多く出演していて、『ミスティック・リバー』では本格的なシリアス系の演技が評価されました。ティム・ロビンスの演技も素晴らしかったんですが、彼は政治的な活動も積極的で、ハリウッドでは人望があり、役者仲間も多かったので、その影響での受賞という感じもします。この作品での渡辺謙さんの演技は、本当に凄かったので、この後、『バットマン・美銀ズ』などのハリウッド映画にも出演しています。これからも、どんどん海外に進出していただきたいですね。


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