ソ連最新鋭原子力潜水艦レッド・オクトーバーは最新の推進装置を搭載し、艦長ラミウスが処女航海の任務を命じられた。一方、ＣＩＡのアナリスト、ジャック・ライアンはレッド・オクトーバーの分析を急いでいたが、レッド・オクトーバーにはニューヨーク、ワシントンなどアメリカの主要都市を壊滅させるだけの核ミサイルが搭載されている事を知り愕然とする。レッド・オクトーバーの艦内では、ラミウスが政治司令官を暗殺、ソ連指導部の命令を無視して航海を続けていた。レッド・オクトーバーがアメリカに向かっているという情報が報告され米ソ両国に緊張が走り、アメリカ軍の潜水艦は攻撃態勢に入る。亡命なのか、アメリカを攻撃する為のクーデターなのか？ライアンは、真相を究明する為にレッド・オクトーバーへ向かうのだが・・・

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　１９９１年アメリカ作品。監督は『ダイ・ハード』『ザ・スタンド』などのジョン・マクティアナン。主演は『小説家を見つけたら』『ザ・スタンド』などのショーン・コネリー。冷戦下、ソ連の原子力潜水艦が命令を無視して単独行動を開始、クーデターか亡命か？トム・クランシーの原作を元にした政治サスペンス。

　この作品は、ゴルバチョフ政権誕生直前に原子力潜水艦の失踪事件をテーマにトム・クランシーが書いた原作を元にしていますが、なかなかリアルな描写が多く、冷戦下のアメリカとソ連の状況をうまく描いていると思います。アメリカを攻撃しようとするクーデターなのか、亡命なのかという謎は早い段階で判明しますが、潜水艦の故障、魚雷による攻撃など緊張感がつづき、さらに艦内にスパイが存在している事によって、米ソ間の緊張だけでなく、潜水艦の中でも危機的な状況が続くのでスリルは満点です。さらに、軍人、政治化のプライドのぶつかり合いが対応を遅らせてしまうなど、人間的な問題も描かれている点でも生々しさを感じさせます。政府高官レベルでの交渉は、政治知識のある方にとっては、爆笑ネタが多く、ブラックジョークですが、かなり笑えると思います。原作者トム・クランシーの作品は、他にも映画化されていますが、ストーリーの面白さ、リアルな国際情勢などに関しては、この作品がベストだと思います。ただ、政治に関する知識が全く無い方にとっては、理解できない部分も多くなってしまうので、ある程度政治知識がある方でないと充分に楽しめないかもしれません。

私は政治家だ、だから嘘をつき、人をだまし、汚い手を使う

　ジャック・ライアンの仮説について政治家が本音をもらすシーンは笑えます。政治家、特に国際問題に関わっている人間は、正直に生きていたら仕事にならないんでしょうけれど、これだけハッキリと開き直るシーンは珍しいと思います。

 

妻をかえりみず

　原子力潜水艦の艦長としてソ連の為に働き、家族を犠牲にしてきたラミウスは、妻の命日に行動を起こします。犠牲にしたのが、自分の人生だけなら苦悩を少ないかもしれませんが、妻の人生まで犠牲にしてしまったという後悔の気持ちが痛々しく伝わってきます。

 

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トム・クランシー原作

　ＣＩＡのアナリスト、ジャック・ライアンを主人公にした著作を多く発表しているトム・クランシーの原作は、この作品の他にも、『パトリオット・ゲーム』『今そこにある危機』『トータル・フィアーズ』などが映画化されています。ソ連の崩壊によって、冷戦時代を背景にした原作は古さを感じさせますが、どの作品も映画向きの興味深い作品ばかりです。

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