キャンベル博士は、アマゾンの奥地で研究活動を続けていたが、３年以上研究報告がなく、キャンベル博士の研究を支援しているアストン財団は研究費の打ち切りを検討していた。そんな時、キャンベル博士から財団に分析器の補充の依頼があり、レイ・クレイン博士が視察に訪れる。若く経験不足のクレイン博士に対して、キャンベルは不快感を示し、二人の関係は険悪になってしまう。しかし、アストン財団にも報告されていなかったキャンベル博士の研究は、実はガンの治療薬の研究で、アマゾンにしか原生しない植物を調合して開発に成功していた。支援の打ち切りを検討していたクレイン博士も、キャンベル博士に協力するようになるのだが・・・。

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　１９９２年アメリカ作品。監督は『ダイ・ハード』『レッドオクトーバーを追え！』のジョン・マクティアナン、出演は、『アンタッチャブル』『小説家を見つけたら』などのショーン・コネリー、『誰かに見られている』のロレイン・ブラッコなど。環境破壊によって自然や、貴重な動植物が危機にさらされている実態を描いたメッセージ性の強い作品ですが、コメディ要素も強く、堅苦しさの無い娯楽作品として楽しめます。製作総指揮はショーン・コネリー、アマゾン熱帯雨林の伐採に反対する彼の主張が伝わってきます。

　外部から持ち込まれた病気によって、９００万人だったアマゾンの人口が２０万人にまで減少・・・。こんな衝撃的な事実も紹介されていて、今更ながらに白人の持ち込んだ病気、文明の為に後進国と呼ばれている国々の人々の平和な暮らしが脅かされているという事実にはショックを受けますが、シリアスなテーマの中にも、コミカルなエピソードが多く取り込まれているので、笑って楽しみながらアマゾンの状況を知ることができる作品です。ショーン・コネリーの存在感は言うまでもありませんが、共演者のロレイン・ブラッコは、デブラ・ウィンガーに似た雰囲気がある魅力的な女優で、コミカルなシーンで抜群な存在感をみせてくれます。ただ、『ダイ・ハード』のジョン・マクティアナン監督なのでアクションを期待する人も多いと思いますが、科学者の物語なので派手なアクションシーンはありません。ガンの治療薬を開発する為に一生を捧げようとする科学者と原住民との交流には心が温まりますし、映画の後半には、こういう場所で暮らしたいなんて気持ちになってしまいます。ショーン・コネリーが自ら製作総指揮、主演をしている事からも、彼のこの作品に対する意気込みが感じられます。残念ながらヒット作にはならず、埋もれてしまっている感じがしますが、なかなかの名作だと思います。

何もできぬ自分がゆるせない

　主人公のキャンベル博士はガンの治療薬に没頭していますが、どんなに努力しても人々を救えない自分に怒り、苦しんでいます。自分の仕事がうまくいかない、自分の家庭がうまくいかないと悩んでいる人は多いと思いますが、人の役に立てない自分に失望している姿は、利己的な悩みではなく、人間としての気高さが感じられ、ちょっと感動させられます。

魔術師？

　この作品の原題は『Medicine Man』、映画の中では魔術師と呼ばれています。アマゾンに限らず、アフリカなどの国でも、呪文や呪術で病人を治したり、予言をしたりする人を指した言葉で、シャーマンと呼ばれることもあります。医療技術や科学が発達した先進国では、一般的に非科学的とされ軽蔑されていますし、この作品の中でも軽く扱われていますが、シャーマニズムは、１９８０年代にライアル・ワトソンなどのニューサイエンスの科学者たちに注目され、まったく非科学的なものとは言い切れないという科学者もいます。実は、東洋思想や、シャーマニズムなど、科学者に否定されている原始的な思想、価値観の中にも、多くの真理が隠されているのかもしれません。

残念！ＤＶＤ未発売

　個人的には好きな作品なんですが、残念ながら国内盤ＤＶＤは発売されていません。ＬＤかビデオテープで探すしか入手方法はありません。同名タイトルでスティーブン・キング原作の映画はＤＶＤで発売されているので、購入の際には注意した方がいいでしょう。

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