１９４３年。第２次大戦下、ドイツ軍がパリを制圧し、ゲンズドルフ収容所には多数の連合軍兵士が捕虜として収容されていた。絶望的な状況下で捕虜の兵士達の唯一の楽しみは、サッカーをすること。そんな様子を見ていたドイツ将校のシュタイナーは、ドイツのナショナルチームと連合軍捕虜によるチームのサッカーの試合を思いつき、連合軍の捕虜でサッカーの経験が豊富な選手を集めてサッカーチームが結成される。ドイツ軍としては、サッカーの試合をプロパガンダに利用するつもりだったが、連合軍側は、サッカーの試合を利用して、選手を脱走させようと計画していた・・・。

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　１９８１年アメリカ作品。監督は『チャイナ･タウン』『風とライオン』などのジョン･ヒューストン。出演は『ロッキー』シリーズのシルヴェスター･スタローン、『ウォルター少年と、夏の休日』のマイケル･ケイン、『奇蹟の輝き』のマックス･フォン･シドー、さらに有名サッカー選手のペレ、オズワルド･アルディレスなども出演しています。ナチスドイツのプロパガンダのために開催される連合軍チームとドイツチームによるサッカーの対戦を、捕虜の脱出に利用しようとする連合軍の作戦を描いた戦争映画。当時の有名サッカー選手が多数出演し、迫力のサッカーシーンが楽しめる異色の戦争映画です。

　ペレなど有名サッカー選手が多数出演して話題になった秀作ですが、アメリカでのサッカーの人気が低かった事もあり、大ヒットにならずB級扱いされている作品です。サッカーの試合を捕虜の脱獄に利用するという設定には現実味がなく、サッカーの試合だけが話題になる事が多いですが、第２次世界大戦時のヨーロッパの状況がリアルに描かれ、サスペンス作品としても、なかなかの仕上がりになっています。主演のシルヴェスター･スタローンや、有名サッカー選手以上に重厚な存在感のあるマックス･フォン･シドーの名演も印象に残ります。日本でも今ほどサッカーの人気は高くなかった為、知る人ぞ知る名作で、マイナーな作品ですが、ペレ、オズワルド・アルディレス、ボビー･ムーアなどの有名サッカー選手の華麗なプレイが楽しめるのでサッカーファンを中心にカルト的な人気のある作品です。プロサッカー選手の芸術的なプレイを楽しめるだけでなく、スポーツ映画らしい高揚感が味わえて、試合のシーンには釘付けになってしまいます。戦時下の時代背景、サッカーという勝負の世界を描いた男くさい作品ですが、小林麻美さんのヨーロッパバージョンのような美しさを持つキャロル･ロールの美しさが花をそえています。サスペンス作品としても、上質な仕上がりだと思いますが、スポーツにもサスペンスにも興味の無い方には向いていないかもしれません。

国家間の争いは、サッカーで解決すべきだ

　殺し合いで人の命を奪う戦争をするよりサッカーの試合で解決しようというアイディアは、平和的な気もしますが、なかなか、そういうわけにもいかないでしょうね。もし、サッカーの試合で解決できるとしても、代表チームの選手にかかるプレッシャーが大きくなり、サッカーを楽しめなくなってしまいます。

今やめると、心が一生、傷を負う

　脱獄計画を成功させる為には、試合を放棄して脱出するしかありませんが、連合軍チームは試合への出場を熱望します。戦って負けるなら納得できるかもしれませんが、逃げ出してしまったら一生負い目を負って生きるしかありません。正々堂々と戦えば、たとえ負けても誇りを持って生きられますよね。

オズワルド･アルディレスなどの名選手も

　サッカーの王様ペレ、元アルゼンチン代表でＪリーグ横浜マリノスの監督もしていたオズワルド･アルディレスをはじめ、当時現役で活躍していた有名選手が多数出演しています。その他の出演選手は、ボビー･ムーア（イングランド）、ポール･ヴァン・ヒムスト（ベルギー）、カジミエルズ・デイナ（ポーランド）、ハルヴァー･ソレンセン（ノルウェイ）、マイク･サマービー（イングランド）、コ・プリンズ（オランダ）、ラッセル･オスマン（イングランド）、ジョン･ウォーク（スコットランド）、ソレン・リンステッド（デンマーク）、ケヴィン･オキャロハン（アイルランド）などが出演しています。世界中から当時の一流選手を起用しているので、サッカーファンにとっては、このメンバーを観るだけでも価値があると思います。

 

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