1991年アメリカ作品。アメリカの歴史上最大の事件であるケネディ大統領暗殺事件をテーマにしたオリヴァー・ストーン監督作品。主演は『アンタッチャブル』『ワイルド・レンジ』のケビン・コスナー。その他、シシー・スペイセク
、ジョー・ペシ、トミー・リー・ジョーンズ、ゲイリー・オールドマン、ジャック・レモン、ウォルター・マッソー、エドワード・アズナー、ドナルド・サザーランド、ケヴィン・ベーコンなどなど、豪華な出演者が作品の存在感を高めています。アメリカ国民だけでなく、世界中の人々に関心の高い、ケネディ大統領暗殺というテーマについては、1970年代に『ダラスの熱い日』という映画でも取り上げられ、高い評価を得ていましたが、この作品では、FBI、CIA、マフィアなどの実名が登場し、ジム・ギャリソンという地方検事が実際に訴追した記録を元に映画化されているので、陰謀説に十分な証拠や、その検証がなされ、陰謀説に確信の持てる作品になっています。
まず、このテーマを映画化してくれたオリヴァー・ストーン監督の行動力と、熱意に感謝したいと思います。この事件に興味のある方にとっては、最高のプレゼントだと思います。ただ、ケネディ大統領暗殺に興味の無い方にとっては、ちょっと難しいかもしれません。映画の前半は、主人公である地方検事ジム・ギャリソンが裁判で告発するクレイ・ショーという人物の人脈や、事件との関わりに多くの時間が割かれていますが、実写映像と、俳優で撮ったシーンのごちゃ混ぜで、こまかくつぎはぎされたシーンにセリフが載って編集されているので、ある程度、この事件に関する知識が無い人には、かなり理解しづらいと思いますが、匿名の告発者、Xが、事件の経緯を説明するシーンからは、映画のテンポも良くなり、事件の流れ、疑惑が分りやすくなりなり、法廷のシーンでの検証では、画面に釘付けになってしまいます。ただし、JFK暗殺事件に関心の無い方、複雑な政治の利害関係に興味の無い方にとっては退屈な作品かもしれません。
2039年まで非公開
ケネディ大統領暗殺事件の重要な証拠書類のほとんどが、紛失しているらしいですが、残っている重要書類の一般への公開は、2039年まで待たなければなりません。国家の存亡に関わる重大事件の証拠である為に、こういう処置が取られたらしいですが、証拠を公開できないというだけでも陰謀があった証拠といえるかもしれません。
国家があなたに何をしてくれるかを問うのではなく・・・
あなたが国家に対して何ができるかを自問してほしい。これは、ケネディ大統領の有名な演説なので、ご存知の方も多いと思いますが、聖書の中にある『あなたがして欲しいと思うことを、他人に対してしなさい』というキリストの名言に通じる価値があると思います。友人や家族に対して、何かをして欲しいと要求してばかりではなく、自分が友人や家族に対して、何かをしてあげたいと思う気持ちこそが、人間にとって最も重要なことなのかもしれません。そんな事を考えさせられる言葉です。こういう心に響く言葉で国民に語りかけたからこそ、歴代のアメリカ大統領の中で、最もしたわれたのかもしれません。