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チェ・39歳 別れの手紙
 
CHE:PART2

●監督
スティーブン・ソダーバーグ

●キャスト
ベニチオ・デル・トロ
フランカ・ポテンテ

■ ストーリー ■

 
 フィデル・カストロと共にキューバ革命を成功させたチェ・ゲバラは、キューバの新政府にも多大な貢献をしていたが、1965年に、突然姿を消してしまう。彼は、独裁政権下で搾取に苦しむボリビアの農民を救う為に、家族を残してボリビアに単身潜入し、ボリビアの革命の為にゲリラ軍を組織していたのだが・・・。

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■ レビュー ■

 

  2008年のアメリカ・フランス・スペイン合作。監督は『オーシャンズ11』などのスティーブン・ソダーバーグ、主演は『スナッチ』『プレッジ』などのベニチオ・デル・トロ。キューバ革命を成功させた革命家として死後も絶大な人気のあるエルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた伝記映画の後編。

 チェ・ゲバラが、キューバ革命の為にゲリラとして活動をはじめてからボリビアで暗殺されるまでを描いた伝記映画の後編です。本作では、キューバ革命後、独裁政権下で苦しむ人々の為に、ボリビアで革命を起こそうとゲリラ部隊を組織して政府軍と交戦するゲバラの姿が描かれています。前作『チェ・28歳の革命』では、キューバ革命の成功までが描かれているので、チェ・ゲバラの志が成就した達成感が味わえますが、本作では、志半ばでCIAによって暗殺されるまでが描かれているので、正義感を満足させてくれるような高揚感は無く、ちょっと暗い気持ちになってしまう作品ですが、ゲリラの指導者として部下と話すゲバラの言葉には、革命云々よりも、人間としての生き方を教えられるような重みがあり、前作以上にゲバラの人間性がにじみ出ている作品です。前作と同様にドキュメンタリータッチでリアルな描写に徹しているので、最近の戦争映画に比べると戦闘シーンなども地味で、娯楽性には欠けますが、チェ・ゲバラの価値観や人間性に関しては、本作の方が深く描かれているので、彼の人間性を知ると言うだけでも価値があります。一つだけ残念なのは、チェ・ゲバラがボリビア軍の兵士との確執によって処刑されたという形で描かれていて、CIAに暗殺されたという事実が、うやむやになっている点です。何らかの圧力によるものだと思いますが、すでに既成事実として有名なエピソードを変える必要は無かったと思います。

 本作も右翼思想を持つ人にはイヤな映画だと思いますが、右とか左とかいう以前に、チェ・ゲバラの人間としての魅力に触れる事の出来る作品なので、政治思想を抜きにして人間ドラマとして観てもいいんじゃないかと思います。仲間との約束は必ず守る、ウソをつかないなど、簡単なようで中々徹底できない事にも信念を持って生きていたゲバラの姿、苦しむ人々の為に何をしてあげられるのかというテーマを考え続け、命を捧げた生き方には、ほとんどの人が感動できると思います。滅私奉公なんて言葉を軽々しく使って、贅沢三昧している某国の政治家に、ゲバラのツメの垢を煎じて飲ませてやりたい!そんな事を考えてしまいます。

約束は破れない

 当たり前と言えば当たり前ですが、約束を破らないというのが人間の生き方の基本の一つではないでしょうか。人を騙したり、平気で約束を破る人間が多い時代だからこそ、心に残りますが、必ず約束を守るという姿勢が、チェ・ゲバラが絶大な支持と信頼を得ていた要因の一つだったのは間違いないでしょう。

私が最も我慢ならないのは、ウソをつくことだ

 ゲバラが最も嫌っていたのはウソをつくこと。革命に命を捧げる同志という関係では、特に信頼関係が重要なので、ウソをつく人間が信用されなくなってしまうのは当然ですが、一般的な人間関係でも、ウソをつく人間は、人望を失い誰にも信頼されません。誰かを助ける為の方便として仕方が無い場合もありますが、すぐにウソをつく人間は、利己的で自分の利益しか考えていないような人間なので、みんなに嫌われるのも当たり前でしょう。嘘つきとは関わり合いになりたくないですね。

俺たちは、同志を誰一人として見捨てない

 どんなに最悪な状況になっても、ゲリラ部隊の隊員は仲間を見捨てようとはしません。自分の命を捨ててでも仲間を守ろうとする気持ちには感動させられます。友人や家族との関係も、こんな信頼関係で結ばれていれば、いつ死んでもいいという満足感を持てるような気がします。



共産主義者も神を信じるの?

 投獄されたゲバラが、監視役の兵士と会話をしますが、宗教について語り合っています。敵の立場の人間にでさえ大きな影響を与えてしまうゲバラの存在感に感動させられるシーンです。

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キューバでのロケは?


 前編、後編合わせて4時間25分の超大作ですが、キューバでのロケは一切行われていません。現在でもアメリカ合衆国とキューバの関係は険悪なので、ロケの許可がキューバ政府から出なかったそうです。チェ・ゲバラも、搾取構造の元凶はアメリカだ!と名指しで非難していましたが、たとえチェ・ゲバラを描いた映画でも、反米を徹底しているキューバ政府には感心してしまうというか、苦笑してしまうと言うか・・・。

●モーターサイクル・ダイアリー

●チェ・28歳の革命

●チェ・39歳 別れの手紙

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