ヘヴィメタルと悪魔主義
1970年、ブラック・サバスのメンバーとして、アルバム『黒い安息日』でデビュー、このアルバムは、13日の金曜日に発売され、アルバムジャケットも魔女をイメージさせるデザインで、バンドのイメージは反キリスト、悪魔崇拝者のようなイメージでバンド活動をスタートさせる。その後に発売されたアルバムも、サウンド的にも衣装や、アルバムジャケットにも悪魔的なイメージが強く打ち出され、1970年代のハードロックバンドの中でも強烈な個性のバンドとして知られ、その個性的なサウンドコンセプトは近年のデスメタルにも影響を与えています。
ブラック・サバスは『パラノイド』などのヒットもあり人気も定着していましたが、オジー・オズボーンは、実父の死もあり、アルコールとドラッグで体調を崩すようになり、1978年にブラック・サバスを脱退。実質的に解雇されたような状態でバンドを離れた為、その後、失意の日々を過ごす事になりますが、自分のバンドを結成する為のオーディションに来ていたランディ・ローズとの出会いで、ミュージシャンとしての絶対的な地位を獲得する事になります。
オジー・オズボーンのソロ・デビューアルバム、『ブリザード・オブ・オズ』は、ブラック・サバス時代からの悪魔的なイメージをそのまま、バンドの基本コンセプトにしていますが、サウンド的には、ランディ・ローズのギタープレイが前面に出ている為、イギリス的な、暗くジメジメしたものではなく、明るく攻撃的なサウンドに、空間のねじれるような個性的なフレーズアレンジを加えたサウンドで、メロディもしっかりした曲が多く、ハードロックファンに熱狂的に受け入れられ、ランディ・ローズのギタープレイも、ヘヴィ・メタル系のギタリストに多大な影響を与えます。
ランディ・ローズが飛行機事故で死亡するという悲劇がありましたが、ランディ・ローズの後任ギタリストとして、ブラッド・ギルス、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドなど次々に実力派ギタリストを発掘し、世に送り出します。オジー・オズボーン本人は、悪魔的なイメージで知られていますが、サービス精神が旺盛で、パフォーマンスとして演じているようで、特に反キリスト的な活動をしているわけではないようです。ランディ・ローズが死亡した後しばらくは、ランディの死を悲しんで落ち込んでいたようですし、人間的には、悪魔崇拝者というより意外にいい人なのかもしれません。ただし、オジー・オズボーン・バンドのライブを観るとハッキリ分りますが、ベーシスト、ギタリストは、自分のポジションから動く事を禁止されているらしく、ステージを自由に動き回って派手なアクションをする事は、ほとんどありません。この辺の掟を考えると、『俺より目立つな!』というエゴが感じられます。まぁ、優秀なギタリストを発掘してくれるだけでも、ヘヴィメタルファンにとっては、ありがたい存在ですし、良くも悪くもカリスマ性の強いヴォーカリストだと思います。