まさに宇宙の彼方へ・・・
1976年発売、ボストン のデビューアルバム。シングルカットされた『宇宙の彼方へ』が世界中で大ヒットし、全米チャートで3位を記録。全世界で2000万枚以上のセールスを記録している大ヒットアルバム。
やはり何と言っても、大ヒット曲『宇宙の彼方へ』が収録されているアルバムとして有名ですが、このアルバムは、ヴォーカル以外のほとんどの楽器を一人で担当してプロデュースも兼ねているというをトム・ショルツの才能の凄さに驚かされるアルバムです。アルバムに収録されている全8曲全てが名曲で、ポップなメロディとプログレッシブロックのような高度なアレンジ、展開力を持つ楽曲で埋め尽くされています。捨て曲、穴埋め的な駄作が1曲も無く、デビューアルバムなのにベストアルバムのような充実した内容で、最後まで一気に楽しめる構成になっています。ポップなメロディを作るソングライターとしての才能、完璧なアレンジセンス、卓越したプロデュース能力は本当に凄いです。作曲、演奏、アレンジ、プロデュースまで一人で完璧にこなす才能を持つほどの天才は滅多に現れませんが、トム・ショルツは、タイプこそ違えどスティーヴィー・ワンダーのようなマルチプレイヤーとしての才能を持つ天才でしょう。
いわゆるギターヒーローと呼ばれるギタリストに比べればギターテクニックは劣りますが、テクニック重視のプレイで無い事が幸いして、ギターソロもメロディアスなフレーズが多くインパクトがあります。ギターは速弾きはほとんど無くシンプルでメロディアスなのフレーズが主体になっているので、ギター初心者でもコピーしやすく、ギター練習用の曲としてピックアップするにも最適。曲のアレンジはプログレッシブロックのファンでも満足できるような複雑なアレンジの曲もあり、宇宙空間に放り込まれてしまったような錯覚を起こすほどスケールの大きな曲も収録されています。壮大なスケールの曲、プログレ風の曲と言うとプレイヤーのエゴ丸出しの退屈なソロが入っていると誤解されるかもしれませんが、そもそも、このアルバムは、トム・ショルツがほとんど一人で作っているので、プレイヤビリティの高さを見せびらかすようなソロではなく、曲を重視したアレンジになっているので、ギターソロ、キーボードソロなどにムダが一切ありません。3曲目の『フォープレイ/ロング・タイム』の前半はクラッシクのようなベース音の流れからポップなロックナンバーに展開、この曲は、アメリカの人気テレビシリーズ『マイアミ・バイス』でも使用されていましたが、この曲などは、完璧な空間表現とハイセンスなアレンジ、さらにポップセンスが加わったボストンらしい名曲だと思います。これだけ完成度の高いアルバムでポピュラー音楽としても楽しめるんですから、2000万枚という驚異的なセールスを記録するのも当然です。
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