これがフリーの最高傑作！

　１９７０年発売のフリーの４作目のスタジオレコーディングアルバム。前作『ファイアー・アンド・ウォーター』からのシングル『オールライト・ナウ』が世界的な大ヒットとなり、名実共に絶頂期だったフリーの最高傑作のアルバムになりました。『ハイウェイ・ソング』『ザ・スティーラー』『ビー・マイ・フレンド』『ラブ・ユー・ソー』などの名曲を収録しています。

　強烈なギターリフが印象に残るヒット曲『オールライト・ナウ』を収録した前作『ファイアー・アンド・ウォーター』も名盤として有名ですが、本作は、バンドとしての成長、楽曲の質の高さ、メンバーの個性を生かしたアレンジの完成度の高さという点を考えると、『ファイアー・アンド・ウォーター』を凌ぐ傑作です。ハードロックファンが喜びそうなギターリフの強い『ザ・スティーラー』『ライド・オン・ポニー』などの名曲も収録されていますが、じっくりとポール・ロジャースの歌唱力を堪能できる『ビー・マイ・フレンド』『サニー・デイ』『ラブ・ユー・ソー』『ボディ』『スーン・アイ・ウィル・ビー・ゴーン』などの名曲には、何度聴いても飽きさせない普遍的なメロディの美しさがあり、歌メロを邪魔せずに悲哀を感じさせるフレーズを合わせるポール・コゾフのギターも秀逸です。７曲目の『ラブ・ユー・ソー』だけは、ポール・ロジャースとサイモン・カークの共作ですが、その他の曲は、ポール・ロジャースとアンディ・フレイザーの二人が中心に作曲された曲で、この二人のソングライターとしてのコンビネーションが一番良かった頃の作品でフリーの頂点を極めたアルバムと言えるでしょう。このアルバムの後、ポール・ロジャースとアンディ・フレイザーの不仲からアンディ・フレイザーが脱退してしまいますが、アンディ・フレイザーのソングライター、アレンジャーとしての才能を失ったフリーは、アルバム『ハイウェイ』を発表しますが、そのサウンドは以前のような強烈な個性がなくなり、バンドとしての勢いを失ってしまいます。フリーの最後の作品となる『フリー・アット・ラスト』では、契約の問題でアンディ・フレイザーが復帰しますが、モチベーションが低下したメンバーのプレイは全盛期のような勢いが感じられず物足りなさを感じました。多分、アンディ・フレイザーのアレンジセンスが、ポール・ロジャースの感情移入の強い作品を野暮ったくならないように制御し、バンドのメンバーの個性をうまく引き出してまとめていたんでしょうね。バッドカンパニー以降は、ダサくならないように制御するアンディ・フレイザーが居なくなってしまった事によって、ちょっとアラが出ているような気がします。結局、このアルバムがフリーの頂点であり最高傑作だと思います。

　高校生の頃、バンド仲間の間で『ファイアー・アンド・ウォーター』を聴き狂って盛り上がっていたのですが、ベース担当のＴ君だけは、興味が無さそうで、『こいつブルースロックの良さがわからねぇのか？』とバンド内でブルースロックの魅力が分らない奴という烙印を押されそうになっていました。後に、このアルバム『ハイウェイ』を聴いて、すっかりハマッて年中聴き狂っていたようですが、Ｔ君にとっては、『ファイアー・アンド・ウォーター』よりも、本作『ハイウェイ』の方が曲がいいし、感情が込められた曲が多いのでアルバムとしての価値は段違いだと感じていたようです。『ファイアー・アンド・ウォーター』も名盤ですし、ギター、ドラム、ベース、ヴォーカルのプレイヤビリティ、アレンジのセンスを楽しむという意味では最高ですが、アルバム全体の完成度、感動できる楽曲という意味では、やはり、このアルバムが最高だと思います。Ｔ君ごめんね。君の感性は正しい！俺も死ぬ前に聴く最後のアルバムはコレだ！

 

 

　フリーの代表的なラブバラードです。静かに淡々とはじまりますが、徐々に感情が高ぶり、押さえ切れない感情が最後に爆発するような構成になっていて、誰かを死ぬほど愛している人なら、かなり感情移入して泣ける曲だと思います。

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ボーナストラックが充実したリマスター盤

　リマスター盤には、ボーナストラックが６曲収録されています。ＢＢＣのライブ音源の２曲では、フリーのライブバンドとしての実力を楽しめますし、『ザ・スティーラー』のシングルバージョンではギターアレンジの違いがあるなど、ボーナストラックにしては価値のある音源が多く、何と言ってもシングルカットされた『マイ・ブラザー・ジェイク』が収録されているのが嬉しい限り。音質に関してもリマスターによりギター、ベース、ドラムの音が明瞭になり、ドラムの音圧もアップして迫力があります。現在発売中のディスクでは、ＳＨＭ−ＣＤリマスター盤の音質が最高です。