ブルースロックの真髄
イギリスのブルースロックバンド、ポール・ロジャース(Vo)、ポール・コゾフ (G)、アンディ・フレイザー(B)、サイモン・カーク(Ds)の4人のメンバーで1967年に結成され、ブルースを基盤にしたシンプルなハードロックで、イギリス、日本では絶大な人気のある伝説のバンドです。今となっては、バッド・カンパニー、ザ・ファーム、クイーン&ポール・ロジャースなどで有名なポール・ロジャースが在籍したバンドとして知られているかも知れませんが、ポール・ロジャースの長いキャリアの中でも、このバンドが最高だと考えるロックファンも多く、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープルなどと共に、ハードロックの原型を築いたバンドの一つと言えるでしょう。サードアルバム『ファイアー・アンド・ウォーター』が大ヒットして、世界的に知られるようになりますが、ポール・ロジャースとアンディ・フレイザーの対立から解散、後にベーシストとして山内テツが加入してアルバムを2枚発表した後、解散してバンドの歴史は幕を閉じます。
声量、歌唱力など、どれを取っても最高のヴォーカリストであるポール・ロジャース、テクニックを見せびらかすような早弾きに頼らず、チョーキングだけでリスナーのハートを鷲づかみしてしまうポール・コゾフのギター、重くパワフルなビートでハードロック色を低音から支えるサイモン・カークのドラム、そして、抜群のセンスでベースライン、バンドのアレンジを担っていたアンディ・フレイザー。レッド・ツェッペリンがオリジナルメンバーの4人で無ければ活動できないのと同様に、この4人でなければ出せない音楽性は、ハードロック、ブルースロックのファンには絶対的な存在でした。アンディ・フレイザーはベース、キーボード、ヴォーカルも担当、さらにアレンジの面でも多大な貢献をしていたようです。後にサイモン・カークとポール・ロジャースはバッド・カンパニーを結成しますが、フリーの時のような斬新なアイディア、洗練されたフィーリングが無くなっている事からも、ベーシストとしてだけでなく、アレンジャーとしても、アンディ・フレイザーの存在が大きかったような気がします。
世界一渋いティーン
昔、友人に、フリーの『ファイアー・アンド・ウォーター』と『ハイウェイ』のアルバムをすすめたところ、感激した友人が、『どうして、こんなバンド知っているの?』と私にたずねたことがあります。私も友人も1965年生まれなので、フリーの音楽をリアルタイムで聴ける世代ではありませんが、私は高校の頃からロックの名盤を色々と物色していて、『ファイアー・アンド・ウォーター』と『ハイウェイ』の2枚も、高校の頃からの愛聴盤でした。『高校生の頃から聞いてたよ!』と友人に答えると、『お前なぁ、普通の高校生は、こんな渋い音楽聴かないぞ!』、と呆れていました。まぁ、私も渋すぎる高校生だったかもしれませんが、デビュー当時のフリーのメンバーもティーンエイジャーで、アンディ・フレイザーは、まだ16歳だったそうですから、『フツーの高校生は、こんな渋い音楽演奏しないぞ!』って気もします。10代で、すでに人生の憂いを知っているようなバンドでした。