革新的なヘヴィ・メタル・バンド
1981年にアメリカ、ロサンゼルスでジェームズ・ヘットフィールド (Vo&G)
とラーズ・ウルリッヒ (Dr)の二人が中心になって結成され、1983年にアルバム『キル・エム・オール』でデビュー。デビュー直後は、スラッシュメタル系のスピード感のある過激なサウンドがセールスポイントのヘヴィメタル・バンドで、80年代にLAメタルと呼ばれたメロディアスなヘヴィメタル・バンドとは違って、独特の存在感がありました。ギターのリフを中心に構成されたスピード感のあるヘヴィサウンドでスラッシュメタル・バンドとしての人気が定着しましたが、アルバム『メタリカ』で、哲学的な歌詞に近年のデスメタルの原型とも言える低音を強調した重厚なサウンドに進化してから、ヘヴィメタルファンだけでなく広いファンから評価されるようになり、現代のヘヴィメタルの基礎を築いたという意味では革新的なヘヴィメタル・バンドと言える存在です。
初期のメンバーには、後にメガデスで活躍するギタリスト、デイヴ・ムステイン、ジミ・ヘンドリックスのようなベーシストと言われた伝説のベーシスト、クリフ・バートンも在籍していましたが、デイヴ・ムステインはクビになりメガデスを結成。クリフ・バートンはツアー中の自動車事故で死亡してしまいます。クリフ・バートンの死後、ベーシストとしてジェイソン・ニューステッドが加入、ロック史に残る名盤『メタリカ』にもベーシストとして参加していますが、後に脱退、現在は、ベーシストにロバート・トゥルージロを加え、ジェームズ・ヘットフィールド
(Vo&G) 、ラーズ・ウルリッヒ (Dr)、カーク・ハメット(G)の4人編成で活動中。
1980年代に人気のあったヘヴィメタルは、一部の音楽評論家から子供向けの音楽として見下されていましたが、実際に子供だましのダサいバンドも多く、歌詞の内容も幼稚なものが多いのが現状でした。私も中高生の頃にヘヴィメタルが好きだったので、昔のヘヴィメタのアルバムを聴いてみると、『あぁ、子供だったんだなぁ、こんなの聴いて喜んでいたんだなぁ』と、恥ずかしくなる事も多いですが、メタリカの曲の歌詞の内容や、音楽的な才能は今聴いても驚かされますし楽しめます。ほとんどのヘヴィメタル・バンドが、子供だましのダサいバンドだった事を考えると、ヘヴィメタルという音楽のジャンルを再評価させた革新的なバンドとして、絶対的な存在感があると思います。バンドの内輪もめをドキュメンタリーとして記録した映画『メタリカ・真実の瞬間』も映画評論家に絶賛され、映画として高い評価を得ていますし、ヘヴィメタ嫌いのファンでも楽しめるバンドじゃないでしょうか。