ジャズ･スタンダートを歌うジョニ

　ピーター・アースキン、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターなどジャズファンにとってはお馴染みの一流ミュージシャンをゲストにむかえてレコーディングされたジャズの名曲カヴァーアルバムですが、ジョニ･ミッチェルの名曲『青春の光と影』のセルフカヴァーも収録、ジョニ･ミッチェルのジャズヴォーカルの魅力を十分に楽しめる名盤です。

　フォーク、ロック、ジャズと様々な音楽スタイルで名曲を世に送り出しているジョニ･ミッチェルですが、このアルバムほど味わい深い作品はありません。愛をテーマに、愛が与えてくれる喜び、希望、また愛に裏切られたときの心の痛み、孤独感などの悲しみまで、情感たっぷりに歌い上げています。ほとんどの曲がジャズの名曲のカヴァーですが、ジョニ･ミッチェルが自分の感情を表現する為に選んだ曲らしく、恋多き女と呼ばれるジョニ･ミッチェルの恋愛遍歴を物語にしたような絶妙な構成のアルバムになっています。じっくりと聴き込むと、ジョニ･ミッチェルの感情に同調して、深く深層心理にまで感情が沁みこんでくるように感じます。人間の深層心理を表現できる音楽はジャズだけだと言ったミュージシャンがいましたが、このアルバムを聴くと、本当にその通りかもしれないと感じてしまいます。ジョニ･ミッチェルのヴォーカルは勿論、サックス、ドラム、ウッドベース、ホーンなど、どの楽器も心の奥底まで響いてきます。無意識のうちに涙が流れてきてしまう、そんな数少ない名盤のひとつです。

 

　  　

 

■　青春の光と影 ■

愛は与えて奪う・・・

ジョニ･ミッチェルの代表曲をジャズアレンジで自らカヴァー、愛の喜びと悲しみを歌った名曲が、ジャズアレンジによって、より味わい深くなっています。この曲は映画『ラブ･アクチュアリー』でも効果的に使用されていて、愛を失った女性の悲しみを痛々しく伝えてくれています。

 

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ＤＶＤオーディオが凄い

　現在、驚異的な高音質で有名なＤＶＤオーディオでも発売されています。ＤＶＤオーディオでは、ジョニ･ミッチェルのヴォーカルが、すぐ近くで歌っているかのような生々しさがあり、鳥肌がたつほど感動的です。また、ロックを中心に聴いている私でも、ジャズの凄さを実感できるほどウッドベース音のふくらみが素晴らしく、このＤＶＤオーディオを聴くと、ジャズの名盤をＤＶＤオーディオで集めたいという衝動に駆られてしまいます。人気のあるＤＶＤオーディオは、ほとんど廃盤で入手困難になっていますが、この作品は、まだ若干在庫商品が残っているようです。いつなくなってもおかしくない名盤なので、新品で購入できるうちに購入した方がいいと思います。

 

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