創造の女神
1943年生まれ、カナダ出身の作曲家、シンガー、アーティスト。美術学校に籍を置き、画家を死亡していたが、アコースティックギターの弾き語りをはじめて音楽に傾倒し、1968年、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのメンバーでデヴィッド・クロスビーのプロデュースでレコードデビュー、映画『いちご白書』のオープニングに彼女の名曲『サークル・ゲーム』が使用され、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの演奏で有名な映画『ウッドストック』の主題歌の作曲者として、世界中の注目を浴びることになります。
デビュー当時は、ボブ・ディランのようにメッセージ性の高い音楽性をアコースティックギター、ピアノでの弾き語りで演奏するスタイルでしたが、やがて、歌詞の内容は女性的で内省的なものも多くなり、音楽性もフォークだけでなく、ジャズ、ロック色を出したアレンジの曲なども取り入れるようになり、フォークシンガーというカテゴリーでは収まりきらない豊かな才能を発揮するようになります。
CSN&Yなどのウエストコーストロックのミュージシャンと親交が深いだけでなく、ザ・バンドのラスト・ワルツに参加したり、伝説的なジャズ・ベーシスト、ジャコ・パストリアスと公私共にパートナーになったりと、ミュージシャンとの広い交流も、彼女の音楽的な飛躍に影響を与えていると思います。もっとも、ボブ・ディラン、CSN&Yなどの大物アーティストをはじめ、彼女に影響を受けているアーティストの方が多いかもしれません。プライベートでは、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ジェイムズ・テイラー、ジャコ・パストリアスなどと交際していたようで、恋多き女というイメージがあります。ジョニ・ミッチェルの場合、スザンヌ・ヴェガやリンダ・ロンシュタットのように交際する男性によって音楽性を変化させるというより、交際相手から音楽的なアイディアを吸収し、自分の芸術性で、それ以上の音楽に昇華させてしまうという恐ろしいほどの才能が感じられます。なんか、カマキリのメスみたいで、ちょっと怖いですが、画家としても個展を開くほど優れた芸術センスがあり、様々な分野でその才能を発揮するジョニ・ミッチェルにとっては、ジャズ、ロックの方法論を手に入れるのは、デッサン画から、水彩画や油絵に方法論を変えるぐらいの事でしかないのかもしれません。
男女を問わず、多くのミュージシャンに影響を与えたジョニ・ミッチェルですが、映画『ラブ・アクチュアリー』の中で『ジョニ・ミッチェルのおかげでイギリスの女性は感情に目覚めた』言われているように、女性にとっては、まさに心の解放者であり、女性の自我を目覚めさせたと言う意味でも偉大な女性かもしれません。まさに創造の女神ではないでしょうか?