100万ドルのギタリスト
アメリカ、テキサス州出身。1969年にCBSレコードと契約したときの契約金が100万ドル近くという破格の金額だったので、100万ドルのギタリストと呼ばれています。今の日本円で1億円ぐらいですから、ちょっとオーバーに表現しているとしても、当時の金額で1億円以上だったのではないでしょうか。それほど期待された天才ギタリストだったようです。初期のアルバム『ジョニー・ウィンター』『セカンド・ウィンター』は、ブルース色の濃いアルバムでしたが、71年に発表した『ジョニー・ウィンター・アンド』は、ブルースよりもロック色を強くしてアルバムが大ヒット、ブルースファンだけでなくロックファンにも広く知られるようになり、『ライブ・ジョニー・ウィンター・アンド』『狂乱のライブ』というライブアルバムの名盤によってロックギタリストとしてもカリスマ的な人気を確立します。しかし、その後、音楽性がブルースミュージックへ原点回帰した為、徐々にメジャーシーンから姿を消しますが、ブルースを弾いてこそジョニー・ウィンター!とブルースファンには歓迎されます。白人でありながらブルースフィーリング持つ唯一のギタリストとして、ブルースファンの期待を裏切らないギタリストとして、白人ブルースギタリストとしては至高の存在です。近年エリック・クラプトンが主催したクロスロード・コンサートなどにも登場し現役で活躍しているようですが、若い頃のライブでの爆発的なパフォーマンスのせいか、体力的には、かなり衰弱しているようです。とにかく、ジョニー・ウィンターの70年代のパフォーマンスは、ブルース・スプリングスティーン以上にエネルギッシュで、普通のミュージシャンの5倍ぐらいエネルギーを使っているような凄味がありました。こんなライブをやっていたら、絶対に長生きできないだろうなぁ、と不安になったのを覚えています。しかし、2011年、なんとジョニー・ウィンターの来日公演が決定!1990年に来日公演が中止になり、諦めていたジョニー・ウィンターのファンにとっては、まさに奇跡!あー生きてて良かったと涙するブルースファンも多いと思います。
白人でありながらブルースを演奏し続け、ブルースの大御所マディ・ウォーターズに、息子のように可愛がられていたそうです。ブルースをテーマにした映画『クロスロード』でも、黒人が白人ブルースマンをバカにする場面が出てきますが、黒人にとっては、白人の演奏するブルースは、形だけで、魂がこもっていないと考えられています。しかし、ジョニー・ウィンターは、生まれながらにして、アルビノ(白子症)で、肌の色も髪も真っ白という特異な容姿だった為、保守的で偏見の強く残るアメリカ南部では、相当なイジメや差別にあっていたことが想像されます。白人でありながら、黒人のような差別、イジメを受けるという試練を耐え抜いてきた彼は、黒人と同じか、それ以上に、魂でプルースをプレイできる特別な白人だったのかもしれません。だからこそ、マディ・ウォーターズに愛され認められたのではないでしょうか。ブルースギタリストブルースを基盤にしたギタープレイですが、ハードロックのお手本のような印象的なリフ、デスメタルのヴォーカルでもかなわないほどパワフルなヴォーカルは、ブルースフィーリング以上に強烈な個性として、リスナーにショックを与えると思います。あのエリック・クラプトンでさえ、彼のスライドギターには、影響を受けているようです。今では、ほとんど使う人がいなくなってしまった、ギブソンのファイアーバードをトレードマークとし、鬼のように歌い、ギターを弾く姿は、白人ブルースマンの憧れだったみたいです。私のようなヘタの横好きギタリストでも、ジョニー・ウィンターのファイアーバードには、憧れました。かなり高額なギターなので、妥協して、ファイアバード・スタジオとエピフォン製のファイアーバードで我慢しましたが、オシャレなデザインといい、枯れた音質の味わいといい、ジョニー・ウィンターの音楽を味わうには最高のギターで満足でした。ジョニー・ウィンターに憧れてファイアーバードを買ったファンも多いでしょうね。
店閉めるからな
昔、20歳前後の頃、良く通った中古レコード店の主人が、ある日、興奮しながら店を休むと言い出しました。ジョニー・ウィンターの来日公演のチケットを取ったから、コンサートの日は店を休むと嬉しそうに話すのです。その店主は興奮しきっていて、『プログレだとか、何だとか、そういう難しいのは、俺はわからねぇ。ブルースが好きなんだよ、ジョニー・ウィンターが観れれば、それでいいんだ!』、あぁ、この人はジョニー・ウィンターが観れれば、店なんかどうでもいいんだ、本当にブルースが好きなんだなぁ、と感動してしまいました。これが、1990年に来日公演の予定だったのですが、結局来日公演は中止になり、気の毒で、しばらく、その店にはいけませんでした。でも、今までプログレのアルバムとかも薦めてたくせに、ホントはプログレなんかわからねぇ!って言われると、だまされてたみたいで、ヤだなぁ。大人は嘘つきが多いんだよな。子供をだましてさぁ。全くよー。あのおっさんも、2011年の来日公演のニュース聞いて泣いてるんだろなぁ。
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