ユージンは、音楽学校でクラシックギターを専攻している。天才的な才能で将来を有望視されているが、ユージンはクラッシックギタリストになるより。ブルース・ギタリストに憧れていた。彼が最も影響を受けているアーティストは、伝説のギタリスト、ロバート・ジョンソン。１９３０年代の短期間のみ活躍し、２７歳の若さで他界したジョンソンには、たった２９曲の録音曲しか残されていないが、実は、もう１曲未録音の曲が残されているはずなのだ。ユージーンは、失われた１曲を探す為、ロバート・ジョンソンの友人でありブルースハープのプレイヤーのウィリー・ブラウンを探し出し、失われた曲を教えてくれるように頼みこむ。ウィリーは、今自分が収容されている療養所から連れ出してくれれば、曲を教えてやると、ユージーンに条件を出し、ユージーンと共にブルース発祥の地、ミシシッピーにある伝説の十字路（クロスロード）へと旅に出るのだが・・・

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　１９８６年アメリカ作品。『４８時間』『ストリート・オブ・ファイアー』などの監督で知られるウォルター・ヒルが監督した、全てのブルースファンに贈る名作。主演は『ベスト･キッド』のラルフ･マッチオ。オープニングではロバート・ジョンソンの名曲『クロスロード』のレコーディング風景が描かれ、ブルースファンの主人公ユージーンの部屋にはＢ・Ｂ・キング、ソニー・ボーイ・ウィリアムソンなどの写真や本がごっそり・・・。もう最初からブルースファンにはたまらない魅力があります。ロックファンにとっては、偉大なロックアーティスト、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンの音楽的なルーツを知ることができます。

　ブルースをテーマに、アメリカ南部へ旅をするという地味なテーマなので、敬遠される方もいるかも知れませんが、ユージーンのロマンス、ウォルター・ヒル監督らしいユーモアも随所に散りばめられ、笑って泣ける作品になっています。しかも演奏シーンも迫力あるプレイが楽しめるので、ユーモア、ロマンス、音楽と見所満載の名作だと思います。

ブルースの学校はミシシッピーの土だ

　「ブルースの故郷ロングアイランド！」「腕はいいが他がたりない」「リッチなスラムでは、それでブルースを？」「お前は奴の尻のデキモノにも及ばない」などなど、白人であるユージーンに対して、ウィリーは厳しい言葉で本物のブルースマンとの違いを教えます。一見頑固なだけのように見えますが、１９３０年代頃、黒人に対する差別が強いアメリカ南部で、黒人が生まれながらの宿命として受けた差別、貧困、重労働などの苦しみは、とても日本人の私達に分かるものではないと思います。そういうブルースの生まれた背景を知ると、ブルースという音楽の重み、深さが身に沁みてきます。娯楽作品として楽しむのもいいですが、この映画からブルースの本質を少しでも知り、テクニックだけでブルースをマネても本物のブルースを演奏する事はできないという事を学ぶのもいいかもしれません。

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スティーブ・ヴァイ
ライ・クーダー
ロバート・ジョンソン

 

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