ドイツ出身の哀愁ヘヴィ・メタル・バンド
ルドルフ・シャンカー(G)とクラウス・マイネ(Vo)を中心にしたメンバーで、1972年に『恐怖の蠍団』でデビュー。ルドルフ・シャンカーの弟で、後にUFOやマイケル・シャンカー・グループの活動で有名になるマイケル・シェンカーも在籍していましたが、ジミ・ヘンドリックスを敬愛する個性派ギタリストのウルリッヒ・ロートがギタリストとして参加してから、独特の個性を持つヘヴィメタルバンドとして注目されるようになります。ギタリストとしての評価が高かったウルリッヒ・ロートですが、彼の個性がバンドに生かされて個性が出ていた反面、ヘヴィメタルバンドとしてはアクが強かった為、正統派のヘヴィメタルが好きなファンには敬遠されていました。しかし、バンドがコマーシャルな音楽性に走った事を嫌ったウルリッヒ・ロートが脱退し、後任のギタリストであるマティアス・ヤプスのカラーが生かされてアルバム『ブラックアウト』が大ヒット。中堅バンドと呼ばれてブレイクできなかったスコーピオンズも世界的なヘヴィメタルバンドとしての地位を手に入れます。その後、メンバーチェンジもありましたが、ジューダス・プリーストと並んで最年長のヘヴィメタルバンドとして活躍しています。
初期のスコーピオンズと言えば、衝撃的なデザインで発売禁止になる事が多かったアルバムジャケトに注目が集まる事が多く、音楽性よりアルバムジャケットの話題が先行してしまう傾向がありました。まぁ、大体は猥褻なジャケットで倫理上問題があるという事で発売禁止になっていましたが、日本では、その手の規制がゆるく、オリジナルデザインのまま発売されていたので、スコーピオンズのファンにとってはラッキーだったと思います。音楽性は、ウルリッヒ・ロートの個性を前面に出した初期と、マティアス・ヤプスが正統派ヘヴィメタルへバンドを導いた『ブラックアウト』以降に好みが分れると思います。ウルリッヒ・ロートは、ジミ・ヘンドリックス風のギターリフを中心に曲を作るタイプで、ポップな曲に興味が無く、ギタリストには人気があり、『ブラックアウト』以降のスコーピオンズのファンは、メロディアスなヘヴィメタルのファンという事になるという傾向があるようです。もっとも、ウルリッヒ・ロート在籍時のアルバムも、ジミ・ヘンドリックス風の曲と正統派のヘヴィメタルの曲が半々収録されている感じで、初期の作品は、ウルリッヒ・ロートの音楽性を収録曲の半分に取り入れて他のメンバーが我慢しているような雰囲気もあります。
初期の頃は、ダサいバンドというレッテルを貼られていましたが、アレンジが垢抜けないというだけでなく、大口を開けて怒鳴るような表情でステージングを繰り返すセンスが笑われていたのかもしれません。ちょっとバカに見えるんですよね、特にルドルフ・シェンカーのステージアクションは、まぁ笑えるからいいですけど。