保険会社を定年退職したばかりのウォーレン・シュミットは、テレビで見かけたチャリティ団体のＣＭが気になり、里親として募金に応募し、自分が援助に手紙を書を書くようになる。定年後は妻と共にキャンピングカーで旅行をするつもりでいたが、妻のヘレン(が急死してしまい、だらしない一人暮らしの生活をする事になってしまった。妻の死後、遺品の中から妻が浮気をしていた証拠を発見してしまい、落ち込んだシュミットは、娘のジーニーの結婚式を手伝うおうと彼女の住むデンバーへ向かうのだが、実は、ジーニーの婚約者ランドールが嫌いで、ジーニーの結婚を阻止するのが目的だった・・・。

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　監督は『サイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン、主演は、 『プレッジ』『ファイブ・イージー・ピーセズ』などのジャック・ニコルソン、すっかり中年の風格が備わったキャシー・ベイツも出演しています。定年退職した男が自分の人生、存在意義を見つめ直すヒューマンコメディ。

　この作品は、ちょっと薦めるのが難しいですね。この映画の主人公と同じように定年退職したばかりの方にとっては、共感できる要素があるかもしれませんが、若い方には理解できない部分が多いでしょう。もし共感できるとすると自分の人生と重ね合わせて落ち込むこともあると思いますし、もし若い方で、この作品の主人公に共感できるなら、その人は、精神年齢がかなり高いか、寿命が尽きてきているかのどちらかでしょう。この映画の主人公のシュミットは、定年退職してから、特に趣味が無いために時間を持て余してしまい、妻の浮気を知り、一人娘はバカと結婚してしまいます。しかも、自分の今までの人生は何だったのかと懐疑的になり、自分の存在意義に疑問を持ってしまいます。こんな気持ちに同調してしまうと、結構落ち込むと思います。ですから、６０歳前後の方にはあまりオススメできません。ですが、コメディ的な要素を強くしてあるので、主人公の境遇などシリアスな部分は無視してコメディ映画として楽しむ分には問題は無いと思います。コメディの要素としては、シュミットの娘の婚約者のランドールが、ねずみ講の仕組みも理解できない程頭が悪く、色々なコンテストに出場しても参加賞しか受賞できず、しかもファッションセンスも最悪という具合に徹底的に無能な男として描かれているので、この辺はかなり爆笑できます。さらにランドールの母親役として出演しているキャシー・ベイツの不気味な存在感も笑えると思います。人生を振り返るにはまだ早いという方や、定年の年齢になってみて自分の人生には何も残っていないと感じている方は、観ない方がいいでしょう。

許してくれるか？

　定年退職して、会社からも、妻や子供からも必要とされていないと感じてしまうと、生きている意味が無いんじゃないかと落ち込んでしまうと思いますが、人生も終盤を迎えると自分の存在の価値を考える以上に、自分が生きている間に犯してしまった罪に関しての後悔の気持ちも強まります。自分が傷つけてしまった人や、期待を裏切ってしまった人に許してもらいたいという気持ち、償いたいという気持ちに悩まされることもあるんじゃないでしょうか。

 

ンドゥグの絵

　シュミットが里親として寄付を送っている少年から手紙が届きます。手紙と言っても絵が一枚同封されているだけなんですが、シュミットが絵を広げるシーンが、この作品で最も感動的な場面です。

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