海洋動物学者のジェイク・テリル博士は、ある財団の支援によってフロリダ沖の島にある研究所で、妻のマギーと数人のスタッフと共にイルカの研究をしていた。ジェイク博士は、イルカの驚異的な知能に注目し、研究所で生まれた最初のイルカに英語を話せるように訓練を続けていたが、スポンサーである財団には、研究内容を報告していなかった。しかし、財団から支援の打ち切りなどの圧力をかけられてしまい、研究内容を報告、ジェイク博士の研究に興味を持ったジャーナリストや、財団の人間に研究内容を知られてしまう。そして、研究所内にスパイが潜り込んでいた事がわかり、ジェイク博士が最も恐れていた事態が・・・。

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　１９７３年アメリカ映画。監督は『卒業』『心の旅』などのマイク・ニコルズ。主演は、『ハスラー』『パットン大戦車軍団』などに出演しているジョージ・Ｃ・スコット。知能の高いイルカを軍事兵器として利用しようとする軍の陰謀に巻き込まれる海洋学者を主人公にしたアメリカン・ニュー・シネマの名作です。

　リュック・ベッソン監督の『グラン・ブルー』のファンなら絶対オススメです。この作品にイルカについての講演会のシーンから映画がはじまりますが、まず、このシーンで語られるイルカの能力に驚かされます。もしかしたら、本当にイルカとのコミュニケーションが可能になるかもしれない、と期待させられます。そして本当に可愛らしいイルカの表情や、研究所のスタッフとイルカの心温まる交流などは、イルカ好きには、たまらない魅力があります。また、サスペンス作品としての完成度も高く誰が敵で誰が味方なのか、予期せぬjイルカの反抗の結末はどうなるかなど最後まで飽きずに楽しめます。知能の高いイルカを軍事利用しようとするアメリカン・ニュー・シネマらしいリアリズムもあり、ハッピーエンドの映画ではありませんが、映画史に残る名作として語り継がれる作品だと思います。

　見終わった後に悲しい気分になるので人によって好みが分かれると思いますが、やはり６０年代後半から７０年代にかけてのアメリカン・ニュー・シネマには永遠に語り継がれるような普遍的な魅力があります。リアリティのある作品が好みの方には最高の作品だと思いますし、イルカが物語の主役になっているので動物好きの方には格別な魅力があると思います。アメリカン・ニュー・シネマのファンは勿論、個人的には特にオススメの名作です。

人間、無いこと言う

　研究結果を視察する為に研究所を訪れた財団の人間が、イルカに嘘をつくシーンには苦笑してしまいます。嘘をつくことが日常的になっている人間と、嘘になれていないイルカの純真さを比較すると、人間の方が知能が低いんじゃないかと思えてきます。

ファー、パーが好き

　イルカを守る為に、ジェイク博士は、イルカに別れを告げます。イルカのファーは、権力者の魔の手が迫っているとは知らずに、ジェイク博士の元にとどまろうとするシーンは涙無しには観ることができません。

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