1979年日本映画。監督は『学校』『息子』『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次。出演は、渥美清、倍賞千恵子、香川京子、ハーブ・エデルマン、林寛子など。日本を代表する長寿シリーズ『男はつらいよ』の24作目。
大のアメリカ嫌いの寅さんの部屋に、長身のアメリカ人が住み着いたことによる騒動を描き、アメリカ人が主要登場人物として登場する『男はつらいよ』シリーズでは、かなり異色の作品です。脚本は、山田洋次さんと朝間義隆さんのコンビに、『ザ・ヤクザ』の脚本家として有名なナード・シュレイダーが加わり、日本から見たアメリカ人のイメージと、アメリカ人から見た日本のイメージをリアルに表現し、アメリカ版寅さんのような人情味のあるマイケルが、優しい性格がゆえに商売がうまくいかないという物語には、善人には金儲けは無理!と断定するようなメッセージが感じられます。そして、マイケルがさくらさんに恋してしまうというストーリーは、アメリカ版寅さんにも失恋を味わってもらうという意図だけではなく、人妻のさくらさんに恋をする男が現れる事によって、愛情に応える事ができない人間の苦悩という深いテーマも描いています。アメリカ人嫌いの寅さんとマイケルの対決、寅さんの幼なじみとの騒動など爆笑シーンが多く、コメディ作品としての魅力が大きい作品で、マドンナも香川京子さん、林寛子さんが親子の役で登場するなど豪華ですが、マドンナが翻訳家というインテリという事もあり、寅さんの恋愛に関しては盛り上がりには欠けています。その分、マイケルの悲恋が強く描かれているので、寅さんの恋愛よりもマイケルの恋愛と、マイケルの愛情に応える事のできないさくらさんの繊細な感情の方が見ごたえがあり、今回の恋愛の主役はマイケルと考えて楽しんだ方がいいでしょう。爆笑コメディーと二組の恋愛模様、さらに、アメリカ人から見た日本人の美徳と欠点を客観的に見る機会を与えてくれる作品で、シリーズにたびたび登場する旅芸人一座にマイケルが出会うという粋なシーンも用意されています。アメリカ人のマイケルが重要な登場人物になっている作品なので、寅さんの出番が少なくなっているのが難点ですが、男尊女卑の日本文化を痛感させてくれるという意味では、大きな意味のある作品です。
結婚していたり、既に付き合っている人がいると、誰かに好意を持たれても応えてあげられません。ノーと言うしかないわけですが、振られたことのある人なら、その人の気持ちを理解できるわけで、申し訳ない気持ちで落ち込んでしまうんじゃないでしょうか。ハンサムだったり、美人だったりすると惚れる人も多く、それだけ多くの人を失望させてしまうわけですから、好意に応えられない度に落ち込んでいたりすると、つらくて生きていけないかもしれませんね。ハンサムだったり美人だったりすると大変ですね。私は、そういう意味では苦労が少ないので、ある意味ではラッキーなのかもしれません。ま、あんまりモテないのも考え物ですが・・・。
不幸な過去は水に流してさ
日米関係に関わらず、過去の遺恨を残して恨みを持ち続けると、結局自分自身まで不幸になってしまうような気がします。国際レベルでも個人の間でも、過去の遺恨は忘れて建設的な関係を築いたほうがいいですね。
お前見たいに優しい子に、そんなこと出来るわけないよ
マイケルの母親は、優しいマイケルに金儲けなんか出来るわけが無いと知っています。自分より他人を優先するような優しい人間は、自分を犠牲にしてでも他人の為に尽くそうとしてしまうわけですから、商売には向かないのかもしれません。他人を騙し、自分さえ得をすればいいと考えるような人間じゃないと富は築けないのかもしれませんね。
アメリカ人は、お互いの気持ちを察しあう事ができないの
何でも言葉に出して確認しないと納得できないアメリカ人は、暗黙の了解とか、相手の立場、気持ちを察して行動するのが苦手のようです。思いを口にしなくても気持ちを察して、相手を思いやる事の出来る日本人は素晴らしいと思いますが、これも一長一短で、口数が少ないことによって誤解される事も多く、どちらがいいとは言い切れません。
人を愛する気持ちって、簡単に言葉に表せないでしょ
愛する気持ちに限らず、自分の感情を言葉で表現するのは難しいですよね。詩人や作家の言葉が心に残るのは、自分では、うまく言葉で表現できない事を代弁してくれるような魅力があるからかもしれません。言葉で伝えられない事って以外に多いような気がします。