花田欽也は、失恋の傷を癒す為新車を購入して北海道へ旅行にやっていた。花田は、彼と同じように失恋を忘れる為に一人旅をしていた朱美という女性と知り合いになり一緒に旅をはじめるが、途中で島という中年男性と知り合い３人で旅をすることになる。島は、殺人事件の犯人として服役し、出所したばかりで別れた妻に会いに行こうとしていたのだが・・・。

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　１９７７年日本作品。監督は『息子』『学校』『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次。出演は『ブラック･レイン』の高倉健、『遙かなる山の呼び声』の倍賞千恵子、『男はつらいよ』シリーズの渥美清など。刑期を終え刑務所を出所したばかりの男が、偶然出会った若い男女とともに別れた妻の元へ向かうロードムービー。

　また公開当初は、日本アカデミー賞作品賞など、日本の主な映画賞を独占し、日本を代表する名作として知られている名作です。この作品の舞台になっている夕張市では、今でもこの作品のファンが多く訪れ、当時の撮影現場が保存されているほどで、今でも人気は衰えていません。高倉健さん、倍賞千恵子さんという日本を代表する名優の存在感が際立っていますが、この作品で本格的に俳優として活躍するようになった武田鉄也さんも、絶妙なアクセントになっています。口下手で強引な主人公のキャラクターは、山田洋次監督が長年手がけてきた『男はつらいよ』シリーズの寅さんのキャラクターとは好対照ですが、ヤクザ映画とは違う高倉健さんの魅力が十分生かされ、愛情表現は下手でも妻に対して誰よりも強い愛情を持った中年男の悲哀がうまく描かれています。また、妻を演じる倍賞千恵子の表情は、古き良き時代の理想の女性像を思い出させてくれ、不思議な安堵感を与えてくれます。１９７０年代の作品なので、若い世代の方が観ると古めかしいイメージがあると思いますが、その点だけ我慢して観れば、一生忘れられない感動が味わえる作品です。

　『男はつらいよ』シリーズでお馴染みの倍賞千恵子さんも出演しています。主要登場人物にも関わらず、出演時間が短いのが残念ですが、倍賞千恵子さんの表情を観るだけでも、この作品は価値があると思います。強引で粗暴な男に振り回されるのは気の毒ですが、情に厚く従順で女性らしいキャラクターは、現代社会ではなかなか見つからないタイプで、『お帰り』の一言だけでも泣けてくるような存在感があります。こんな奥さんが欲しいなぁと感じる人も多いんじゃないでしょうか。

醤油ラーメンとカツ丼ください

　刑務所から出所してきたばかりの主人公が、食堂で久しぶりに食事をしますが、何年かぶりでちゃんとした食事ができる喜びが、ひしひしと伝わってきます。ビールを飲み干した後の表情や、うまそうにラーメンを食べている姿から、刑務所で生活の厳しさが感じ取れます。この作品を最初に観た時は、まだ子供でしたが、刑務所に入ると大変なんだなぁと、このシーンを観て感じたのを覚えています。当たり前の食事ができないというのも罪を償う上で仕方の無いことなんでしょうが、ツライでしょうね。

我慢してやってれば、いい事あるよ

　渥美清さんが演じる警察官が、主人公を励ますシーンが心に残ります。庶民の生活には試練が多く、嫌な事も我慢しなければなりませんが、我慢していれば、きっといい事がある！そう信じないと生きていけませんからね。

俺にはこの女しかいない

　振られたら次を探せばいいという考えも前向きな考え方かもしれませんが、自分の愛する人は、この人だけだ！という強い気持ちがあれば、何があっても離婚なんかしないで一緒に暮らせるでしょうね。

『男はつらいよ』シリーズのメンバーも

　山田洋次監督の代表作である、『男はつらいよ』シリーズでお馴染みの俳優、寅さんを演じている、渥美清さん、タコ社長を演じている太宰久雄、大空小百合を演じていた岡本茉利さんなども出演しています。

 

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