主要登場人物
車 寅次郎(寅さん)
東京都葛飾区柴又出身。テキ屋稼業で生活している。父親と大ゲンカして家出し、20年ぶりに故郷の柴又に帰ってきてからは、時々とらやに帰ってくるようになるが、気が短い性格の為にすぐにケンカになり旅に出てしまう為、一年のほとんどを旅暮らしで過ごす。情に厚く、困った人を見ると放っておけない性分で、美人に弱く惚れっぽいが、ほとんどが勘違いの恋で、相手がその気になると逃げ腰になってしまう。集中力が無く、小学生レベルの教養しかない為にインテリ嫌いだが、苦労の多い人生を送っている為、人生についてシンプルで分りやすい名言を人に与える事が多く、誰からも愛される人間味のある男である。財布の中には500円前後の金しか入っていない事が多く、いつも貧乏だが、江戸っ子らしく気前がいい。自分勝手でデリカシーがないくせに、自分の事に関しては神経質な部分があり、さくらをはじめ、周囲の人間は気をつかっているが、ちょっとした言葉にかんしゃくを起こし、もめごとになる事が多い。しかし、持ち前の明るさと裏表の無さが、旅先で出会う人々に癒しと笑いを与え、どこに行っても大歓迎され、他人を明るい気持ちにさせる不思議な魅力を持っている。自分自身の苦労の多い人生から、他人の苦しみ、悲しみを理解できる為、自分の幸せより他人の幸せを優先してしまい、身を引く事も多いが、堅気になれない浮き草のような自分の生き方が、幸せを手に入れることができない原因だという事を自覚している。
諏訪 さくら
車寅次郎の妹。寅次郎とは腹違いの兄弟だが、唯一の兄妹である寅次郎を誰よりも心配している。ダンナの博とは、寅さんの余計な一言がきっかけで恋愛結婚に至り、実質的に兄の寅次郎が仲人のようなものである。失恋して旅に出る寅次郎は、財布が空っぽなので、寅次郎が旅に出るたびに小遣いを渡している。兄の寅次郎と同じように、困った人を見ると放っておけない情に厚い女性で、兄の寅次郎の失恋を、自分の事のように悲しみ、涙を流す事が多い。
諏訪 博(ひろし)
とらやの隣の朝日印刷に勤めるさくらの夫。高校の時に父親とケンカして家出。上京してタコ社長の経営する印刷工場に勤め、隣に住むさくらと恋愛結婚。大学に行けなかった事を後悔しているインテリだが、若い頃はグレていた事があり、寅さんを投げとばすなど荒っぽい一面もある。寅さんが、言葉で説明できない事をうまくまとめて表現する事が多く、寅さんの代弁者として名言を残すことも多い。根がマジメで、寅さんにはつまらない男と言われている。長男満男の成長と共に、自分の息子に言いたい事を言えない、現代的な父親になっていく。
車 竜造(おいちゃん)
車寅次郎の伯父さん。寅さん同様に、江戸っ子らしい気質で、とらやの跡継ぎとして寅次郎に、ちょっと期待しているが、自分勝手で、家族に心配ばかりかける寅次郎とすぐケンカになってしまい、寅次郎が家出するキッカケを作ってしまう。ケンカの原因は様々だが、ほとんどの場合は、おいちゃんの意見が正論であり、寅次郎の事を思えばこそ叱っているのであって悪意は無い。
車つね(おばちゃん)
車寅次郎の伯母さん。情に厚く涙もろい典型的な下町の奥さん。昼間からパチンコに行っているようなおいちゃんの尻を叩く厳しさも持ち合わせていて、気取った所が全く無い。イモの煮っ転がし、がんもどきの煮物など、寅さんの好物を作ってくれる寅次郎の母親のような存在。
桂梅太郎(タコ社長)
とらやの隣で印刷工場を経営する社長。毎日のようにとらやに出入りしていて、とらやの家族の一員のような存在感があるが、余計な一言で寅次郎の原因を作ってしまう事が多い。中小企業の経営者の悩みを愚痴る事が多く、日本全国の中小企業の経営者の代弁者のような存在。タコ社長の娘あけみも、寅次郎や、とらやの家族と親しい。
御前様
題経寺の住職。車寅次郎を幼い頃から知っていて、寅次郎にとっては、唯一頭が上がらない存在で、寅次郎を温かく見守っている。柴又に帰ってきた寅次郎を叱る事もあるが、さくらの相談に乗ることが多く、仏に仕える立場から、仏教的な名言を与えてくれる事もある。
源ちゃん
寅次郎の弟分で、御前様に仕えて帝釈天で働いている。寅次郎を兄貴分と考えている事からもわかるように、あまり頭が良く無いため、ほとんど話さないが、小学生のように寅次郎とじゃれ合う事が多い。
諏訪 満男
博とさくらの長男。高校生になって恋愛の悩みを持つようになってから伯父さんである寅次郎に格別の敬意を持つようになり、両親の博とさくらに相談できない事でも、寅次郎だけには打ち明ける。好きな人に、うまく想いを伝えられ内向的な性格は、父親の博や寅次郎そっくりで、両親に甘やかされて育った現代的な若者を象徴したような存在感もある。
及川泉
満男の高校の後輩で、満男が想いを寄せる女性。両親が離婚し、母親の病気など様々な試練があるが、満男や、彼の家族、寅次郎などに見守られていてる。満男の気持ちを感じてはいるものの、気持ちをハッキリと伝えてくれない満男に失望している。