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男はつらいよ・旅と女と寅次郎

シリーズ31作(1983年)

●監督
山田洋次

●キャスト
渥美清
倍賞千恵子
都はるみ

■ ストーリー ■


 新潟で知り合った女性と佐渡島へ旅をすることになった寅さんは、宿泊した民宿の女主人から、彼女が有名な人気歌手の京はるみだと教えられて驚くが、何か事情がある事を察して、そうとは知らないふりで旅を続け。結局レコード会社のスタッフに見つかり、京はるみは、仕事に復帰するが、寅さんは彼女を忘れる事ができなかった・・・。

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■ レビュー ■

 

 1983年日本映画。監督は『学校』『息子』『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次。出演は、渥美清、倍賞千恵子、都はるみなど。日本を代表する長寿シリーズ『男はつらいよ』の17作目。

 演歌歌手として、当時人気絶頂だった都はるみをマドンナに迎えた作品で、彼女の本来の持ち味を生かすために、ステージシーンが多い作品で、演歌のすきな方にとっては、『男はつらいよ』と都はるみの歌を同時に楽しめる作品になっています。有名人が失踪して自由な時間を楽しむというストーリーは、オードリー・ヘップバーン主演の名作『ローマの休日』に似ているような気がしますが、演歌を歌うシーンをはじめ、日本の情緒をたっぷりに描いていて、極めて日本的な作品に仕上がっています。自分の才能を生かした道を歩んでいるとはいえ、過密スケジュールでプライベートな時間の持てない芸能人の悩み、多くのファンに応援されているという喜びなどが描かれていて、芸能人を身近に感じられるような作風になっていますが、本業が歌手で、プロの役者ではない都はるみさんを起用した事によって、映画としての質は低下しているような気がします。プロの女優では無い都はるみさんを責めるわけにはいきませんが、出演者の演技力が足りないと、作品の質が下がってしまう事が痛感できる作品になってしまいました。演歌のファンならそれなりに楽しめると思いますが、昔からの『男はつらいよ』シリーズのファンにとっては、満足できないかもしれません。

 ちょっと厳しいですね。プロの女優では無い都はるみさんの演技力の無さをカバーしようとしてステージで歌うシーンが多めになっていますが、やはり、失敗作のような気がします。他の出演者が、いつも通りにいい演技をしているだけに、浮いている感じがしますし、山田洋次監督も、キャスティングに関しては失敗したと思っているんじゃないでしょうか。芸能人が多忙で孤独な人が多いと言われても、世の中には、もっと酷い人生を送っている人が大勢いると思うので、同情する気にもなれませんし、私は演歌が苦手なので、個人的には、『男はつらいよ』シリーズの48作品の中で、一番ガッカリした作品です。

人間誰しも、大なり小なり重しを背負って歩いてるんだ

 社会的な立場、家族を養う義務など、責任という重しもありますし、忘れられない過去が重しになる事もあります。程度の差はあれ、誰でも重しを背負って生きているには違いがないのかもしれません。

怖い顔してると女にもてませんよ

 怖い顔していると女性にももてませんし、近寄りがたい存在として他人に敬遠されてしまいます。寅さんのように、いつもニコニコ明るい笑顔!これが一番なんでしょうね。

くどくど身の上を聞くほどヤボじゃねえよ

 悩みを人に聞いて欲しい時もあれば、人に知られたくない時もあります。話したいのに聞いてくれないのもガッカリしますが、話したくないのに、しつこく詮索されるのも嫌なものです。話したがらない人には、無理に聞きだそうとしないのも思いやりです。

俺だって根に持つ人間じゃねえからな

 ケンカをしたタコ社長が、謝りに来ると、おいちゃんはすぐに赦します。江戸っ子だからでしょうか、済んでしまった事は、根に持たずに相手を赦す心の広さには関心させられます。詫びを入れてきた相手には、根に持たずに、赦してあげるた方がいいと思います。自分が逆の立場なら、やはり赦してもらいたいですからね。


 

名シーン

私の人生は、本当にこれで良かったのかしら

 京はるみが、ステージで歌う前に寅さんとの思い出を語るシーン。自分の悩みを観客に打ち明け、寅さんとの思い出を語る場面が印象的です。

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ガイド

つっ転ばされた?

 寅さんが強風で飛ばされるシーンで、こんなセリフが出てきます。今では、ほとんど耳にすることがなくなりましたが、昔は、転ぶの前に『つ』をつけて、『つっ転んじまった』なんて言い方をしていました。もう死語でしょうかね。

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