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CDが105円から

男はつらいよ・寅次郎物語
 
シリーズ39作(1987年)

●監督
山田洋次

●キャスト
渥美清
倍賞千恵子
秋吉久美子
五月みどり

■ ストーリー ■


 寅さんの仕事仲間が急死し、その仲間の息子秀吉が、寅さんをたずねて寅やにやってくる。ちょうど帰ってきた寅さんは、その子を連れて母親探しの旅に出るが、秀吉が旅先で高熱を出してしまう。たまたま隣の部屋に泊っていた隆子の手厚い看護で、秀吉は奇跡的に回復し、寅さんは、隆子と秀吉とで家族のような時を過ごすが、秀吉の母親を探す為、再び旅に出る・・・。

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■ レビュー ■

 

 1987年日本映画。監督は『学校』『息子』『幸福の黄色いハンカチ』の山田洋次。出演は、渥美清、倍賞千恵子、秋吉久美子、五月みどりなど。日本を代表する長寿シリーズ『男はつらいよ』の第39作。

 前作『男はつらいよ・知床慕情』が稀に見る傑作だった為に、インパクトが弱く、一般的には評価が低い作品ですが、寅さんが、悟りの境地に近づいたような深いセリフが多く、死んだ仲間の子供の母親を探す為に旅に出るという、寅さんらしい人情を感じさせてくれる作品です。マドンナ役には秋吉久美子、五月みどりが出演し、寅さんの子供では?と思わせる子役を起用する事によって、しっかり笑わせてくれますし、美人だというだけで人に妬まれて苦労をする秀吉の母親のエピソードなどは、人間の愚かさを改めて感じさせてくれます。自分の子供を捨てて出て行った母親が、子供との再会を喜んでくれるのかどうか?という不安は、現代社会の親子の関係が希薄になってしまっている事を象徴しているのかもしれません。まだまだ寅さん役の渥美清さんも元気で、爆笑できる作品ですが、秋吉久美子のキャラクターが、暗い過去を持つ女性にしては明るすぎで、どうせな天然ボケのキャラクターにした方が、彼女の魅力が生かせたんじゃないかなという点と、母親と息子の再会という感動的なシーンが、ちょっと淡白になっているのが残念です。

 秋吉久美子、五月みどりなど豪華な出演者ですが、タコ社長の娘あけみ役で出演している美保純が、この作品でも魅力的なキャラクターになっています。寅さんが惚れるような典型的な美人タイプではありませんが、寅やで働く姿は庶民的な魅力があり、近所にいてくれると楽しいだろうなと感じてしまいます。明るく快活な性格は寅さんとも相性が良く、この時代のシリーズには欠かせない存在でしたが、美保純の出演は、この作品最後になりました。かなり寅やのメンバーになじんでいたので、シリーズの最後まで出演して欲しかったんですが・・・。

子供には罪はないんだけど・・・

 親の都合で孤児になってしまった秀吉を哀れんで、おいちゃんがつぶやきます。自分勝手な親が増えてしまうと、その犠牲になるのは子供たちです。自分勝手なことばかりせずに、子供の事をもっと考えろ!という山田洋次監督のメッセージなのかもしれません。

仏様は、愚者を愛しておられます

 御前様が、仏の道を歩む自分よりも、寅さんのような愚かな人間を、仏様は愛してくれるという言葉は、自分の愚かさに気づき反省する人間にとっては、何よりも慰めになる言葉かもしれません。

人間は何のために生きてるのかな

 旅に出ようとする寅さんに満男がたずねます。哲学的、宗教的な難しい答えではなく、学の無い寅さんならではの、シンプルな答えに納得させられてしまいます。


 

名シーン

俺たちのような人間がなぁ、声をかけちゃ迷惑なんだ。

 寅さんが、秀吉たちが初詣に出かける姿を見つけますが、声をかけるどころか、隠れてしまいます。いつもなら、再会を喜び最後の盛り上がりを見せるクライマックスですが、自分たちが関わらない方が、相手の為と考えて、あえて声をかけない寅さんの気持ちが印象に残ります。

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ガイド

寅さんにソックリでしたが

 寅さんの隠し子では?と疑ってしまうほど寅さんにソックリな子役を起用する事によって、爆笑シーンが効果的に演出されていますが、やはり、感動的な場面では逆効果で、特長の無い顔でも演技力のある子役を起用した方が良かったような気もします。


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