マルセイユ沖で、体に銃弾を受けた瀕死の男が漁師に助けられる。その男は過去の記憶を失っていたが、危険を察知すると、並外れた格闘技術で相手を倒してしまい、複数のパスポートや現金を持っていた。彼は、自分が何者なのかを知るために、自分につながりがある痕跡を追ってパリへ向かい、偶然知り合ったマリーという女性の車に乗って、自分の過去を探るのだが・・・。

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　２００２年アメリカ作品。監督はダグ・リーマン、出演は『グッド・ウィル・ハンティング』『ふたりにクギづけ』のマット・デイモン、『チェ・３９歳 別れの手紙』『ボーン・スプレマシー』のフランカ・ポテンテなど。ロバート・ラドラム原作の『暗殺者』を元に、ＣＩＡによって人間兵器にされたスパイを描いたサスペンスアクション。

　１９８８年に一度ＴＶ映画として製作されたベストセラー小説の映画化ですが、カンフーアクションのようなスピード感のある格闘シーンや、ド派手なカーアクションなどを満載したグレードの高いアクション映画になっていて、フランスを舞台にしている事で、独特の雰囲気、映像美を楽しめる作品になっています。この作品に出演するまでは、どちらかと言うと線の細いインテリタイプを演じる事が多かったマット・デイモンですが、知性だけでなく抜群の身体能力を持つエージェントを好演し、新たな境地を切り開いています。また、共演のフランカ・ポテンテの魅力が、非人間的なスパイの世界を描いた作品に潤いをもたらし、アクション映画としての迫力、スリルだけでなく、恋愛的な要素も楽しめる作品にしてくれています。公開前から、かなり話題になり期待しすぎたせいもあり、最初に観た時は、よく出来たアクション映画だな、という印象しか残りませんでしたが、２度、３度と観るうちにフランカ・ポテンテが演じるマリーの魅力に、すっかりハマってしまいました。特に美人でもなく、放浪癖があるというキャラクターは、個人的には、好みの女性のタイプとは全く正反対ですが、サバサバとした性格で、恋愛に不器用でありながらも、機転を利かせる頭の良さや、女性的な可愛らしさがあり、この作品で最も魅力的なキャラクターになっています。もし他の女優が、マリーを演じていたら、これほど魅力的なキャラクターにはなっていなかったかもしれません。スリル、アクションが見所の作品ですが、男性にとっては、可愛らしいマリーの魅力を楽しめる作品であり、恋愛に不器用な女性にとっては、共感できる要素が強い作品だと思います。アクション、映像美、恋愛ドラマも楽しめる娯楽作品の秀作ですが、現実味のある国際情勢を背景にした物語ではないので、暴露的な要素はありません。そういう意味では、ＣＩＡによる謀略などのリアリティは少ないので、あくまでアクション映画として楽しんだほうがいいでしょう。

うらやましい・・・

　記憶を失ってしまっている事をマリーに告白するボーンですが、マリーの感想は、『うらやましい』。毎日の生活で、忘れてしまいたいような辛い事が多いと、こんな気持ちになるのも分るような気がします。

私は男に不器用だから・・・

　マリーのように誠実で深い愛情を持っているにも関わらず、表現方法がヘタで誤解されてしまう人がいます。照れ隠しにひねくれた態度を取ってしまったり、素直に愛情を表現できない人は、なかなか他人に理解してもらえず、幸せを手に入れにくいかもしれません。世渡り上手で饒舌な人より、不器用な人の方が、誠実で深い愛情を持っている場合が多いと思うんですが・・・。

歩くと足跡が付く？

　追跡から逃れる為に指紋を拭き取り細心の注意を払うボーンですが、マリーと親密な関係になり、思わず笑みがこぼれます。はずかしそうに笑顔をかわす二人の表情が印象的です。

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シリーズ化されて全３作品

　大ヒットして続編が製作されましたが、この作品だけでも十分に楽しめると思います。と言うか、この後のシリーズでは、マリーに悲劇が訪れるので、この作品を観てマリーのキャラクターが好きになった人は、続編は観ない方がいいかもしれません。。

 

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