ウォルトとボブの兄弟は、腰の部分で体がつながっている結合双生児だが、彼らの経営しているハンバーガー店は、彼らの人柄が魅力で地元の人たちから人気があり、大繁盛していた。温かい地元の人たちに囲まれて平和な暮らしをしていた彼らだったが、ウォルトは、俳優として活躍したいという夢をあきらめきれず、ハリウッドへ向かう事になる。一方、内向的なボブは、都会の生活には興味が無かったが、何年もメル友だったメイに会えるのを楽しみにしていたが、ボブは、自分が結合双生児だという事をメイに隠していた・・・

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　２００３年アメリカ作品。監督は『２番目のキス』『愛しのローズマリー』などのファレリー兄弟、出演は『グッド・ウィル・ハンティング』『ディパーテッド』などのマット・デイモン、『ユー・ガット・メール』『ファーストフード・ネイション』などのグレッグ・キニアなど。本人役でシェール、メリル・ストリープなども出演しています。結合双生児の兄弟の夢と恋愛を描いた心温まるコメディ作品。

　『メリーに首ったけ』では、ベン・スティーラー、『愛しのローズマリー』では、ジャック・ブラックのキャラクターの魅力を最大限に生かしたコメディ作品で笑いと感動を与えてくれたファレリー兄弟の作品ですが、この作品では、マット・デイモンの新たな魅力を開拓し、ファレリー兄弟の最高傑作と呼ぶにふさわしい作品に仕上がっています。結合双生児という障害者を主人公にしていますが、明るくピュアなキャラクターをコミカルに描いているので暗さがなく、障害者をネタにして不謹慎だ！という怒りも感じさせない作品で、誰でも笑えるドタバタの爆笑ネタから、風刺ネタまでタップリと笑わせてくれます。そして、現代人が日常生活の中で忘れてしまっている大切な事を思い出させてくれ、心地よい感動と自省の念を感じさせてくれるので、観終わった後に何とも言えない満足感と高揚感に満たされます。個人のエゴよりも、パートナーと一緒にいることが、いかに重要かという事がテーマになっていますが、恋人、兄弟、家族、友人など、それぞれ自分にとって大切な人に置き換えて考えてみると、一層感動的に楽しめるかもしれません。好対照の主人公二人を演じるマット・デイモンと、グレッグ・キニアも魅力的ですが、ボブの恋人メイを演じるウェン・ヤン・シーのちょっと大げさな表情、演技が、ユーモアを強調し、主演の二人に次ぐ存在感を示しているのが印象的です。また、本人役で出演しているシェールが重要なメッセンジャーになっている点も見逃せません。ＢＧＭに使われている曲もジミ・ヘンドリックス、ローリング・ストーンズ、ギルバート・オサリバンなどの名曲が効果的に使われていて、クラッシックロックのファンにもたまらない魅力だとおもいます。ファレリー兄弟のヒット作『メリーに首ったけ』は、ちょっと下ネタが強すぎますし、『２番目のキス』は、野球ファンのマニアックなネタが多いので、誰でも楽しめるという意味では、この作品が一番オススメできます。

悪業の報いかも

　本人役で出演しているシェールが、自分を『最悪のクソ女』と言う場面がありますが、このシーンには感心させられます。傲慢でプライドが高いエゴイストというタイプの人間は、普通は自分を客観的に見る事ができず独りよがりで、自分の欠点に気づかない人が多いですが、自分を客観的に観て反省できる点が凄いと思います。自分が他人に優しくしてこなかった事が報いになっているのかも、と考えられれば、これから人に対して優しくできるかもしれませんね。

エミリーとキーガンに捧ぐ

　この作品のエンドロールで、友人にこの映画を捧げるとクレジットが出てきます。ファレリー兄弟の親しい友人だと思いますが、作品の内容、メッセージを考えると、ファレリー兄弟や、その友人たちの温かい人間性が感じられ、何気ないクレジットにも、まるで他人に優しくされたような幸福感が感じられます。また、エンドロールの後半には、この作品に出演した障害者の謝辞が挿入されています。『愛しのローズマリー』でも障害者を起用していますが、プロの役者に障害者を演じさせた方が撮影しやすいにも関わらず、あえて障害者を起用しているあたりも、障害者に対しての偏見や差別の無いファレリー兄弟の人間性が感じられます。

自分が恥ずかしい、あんな態度をとって

　ボブが、結合双生児だと知って取り乱したメイが、ボブに謝る場面が感動的です。障害を持った人間に対して、拒絶反応を示してしまった自分を恥ずかしく思うメイの心の美しさ、人間性が感動的です。

 

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レッドソックスファン？

　酒場でケンカになるシーンで、ケンカにならないように止めようとしていたボブの表情が一変してしまうのが、レッドソックスの悪口を言われた瞬間です。ファレリー兄弟の監督作品で、レッドソックスの熱狂的なファンを主人公にした『２番目のキス』という作品がありますが、ファレリー兄弟のレッドソックスファンとしてのプライドが象徴されているようなシーンで、笑えます。

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