１７７６年、アメリカ、サウスカロライナ州、ベンジャミン・マーティンは、妻に先立たれたものの７人の子供と幸せに暮らしていたが、イギリスからの独立気運が高まり、独立戦争が勃発する。長男のガブリエルは、父親の反対を押し切り、従軍したが、伝令としての任務の途中に重傷を負い、何とか家にたどり着く。ガブリエルが家に着いた翌日、イギリス軍のタヴィントン大佐が、負傷兵の手当てをしているマーティンの家に進軍。残虐なタヴィントン大佐は、負傷兵を処刑し、ガブリエルを連行しようとするが、それを止めようとした次男トマスを射殺し、さらにマーティンの家を焼いて立ち去っていった。家族の安全の為に従軍せずにガマンしていたベンジャミンだったが、次男のトマスを殺され、長男のガブリエルまで連れ去られて激怒し、復讐を誓ってイギリス軍に戦いを挑む決意をするのだが・・・。

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　２０００年アメリカ作品。監督は『スターゲイト』『デイ・アフター・トゥモーロー』などの超大作で知られるローランド・エメリッヒ。主演は『マッド・マックス』『ペイバック』などのメル・ギブソン、『ロック・ユー』『恋のからさわぎ』などのヒース・レジャー。アメリカ独立戦争を舞台に、ローランド・エメリッヒ監督らしいスケールの大きい戦闘シーンと、家族を守ろうとする父親の愛情、愛国心を描いた感動の人間ドラマです。

　アメリカ独立戦争という時代背景を描いた作品なので、現代の戦争映画と比べると、アクション的な派手さはありませんが、この作品は戦争映画として観るより、恋愛映画として、家族愛をテーマにした作品として観た方がいいと思います。長男のガブリエルの恋愛、父親マーティンと家族の絆などを感動的に描き、戦争という悲惨な状況の悲しみもありますが、観終わった後に、希望に満ちた気持ちにさせてくれます。この作品でのメル・ギブソンの演技は、彼のキャリアの中でも最高の演技と絶賛されました。そして、残念ながら若くして他界してしまったヒース・レジャーの出世作としても知られています。豪華な出演者、スケールの大きな映像美、大きな感動を与えてくれるストーリーと、全てが完璧な名作です。

私は恐れていた

　映画の冒頭でこんなセリフが出てきます。物語の展開を予感させるセリフですが、以前の戦争で激情にかられて残虐行為をしたマーティンは、いつか自分の行いの報いがくるのではと恐れながら暮らしています。仏教的な因果応報のような考え方ですが、キリスト教徒でも、敬虔な信者だと自分の行いに対する責任を感じるのかもしれませんね。

なぜ変わったの？

　長男のガブリエルに聞かれた時のマーティンのセリフには、シンプルですが、人を変えるのは何か？という真理を表現していると思います。若く血気盛んな頃のマーティンは、ウィルダネスの戦いでの活躍で有名になりましたが、ある人とに出会いで、人間的に大きく変化を遂げます。試練によって人間性が磨かれていくという事もあると思いますが、人間が一番成長し変化するのは、自分より大きな存在の人間に影響を受けたときなのかもしれません。

 

行かないで・・・

　まだ幼いスーザンは、父親がなぜ家族と一緒にいてくれないのか理解できません。父親のマーティンが従軍している間に話ができるようになったスーザンですが、不安な生活は、すべて父親のマーティンのせいだと思い込み、マーティンにだけは話をしようとしません。父親が戦地へ戻る日、やっとスーザンが話しかけるシーンでは、必ず泣けてしまいます。

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