マフィアによる組織犯罪が蔓延するボストン南部、市警察はは犯罪組織のボス、フランク・コステロを逮捕する為に、警察学校を卒業したばかりのビリー・コスティガンを組織に潜入させ、組織の情報収集を進めていた。しかし、コステロも、部下のコリン・サリバンを警察内部にスパイとして潜入させていた。警察当局、コステロの組織双方が、情報漏れの原因がスパイである事を察して、スパイ捜しをはじめるのだが・・・

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　２００６年アメリカ作品。監督は、『ラストワルツ』『最期の誘惑』のマーティン･スコセッシ。出演は、『カッコーの巣の上で』『プレッジ』のジャック･ニコルソン、『グッド･ウィル･ハンティング』のマット･デイモン、『タイタニック』のレオナルド･ディカプリオ、『ロックスター』のマーク･ウォールバーグ、『地獄の黙示録』の主役マーティン･シーン、『パール･ハーバー』などに出演しているアレック･ボールドウィンなど。警察とマフィアのスパイによる攻防を描いた『インファナル･アフェア』のハリウッド･リメイク作品。

進化し続けるマーティン・スコセッシ

　マーティン・スコセッシ 監督の最も得意とするマフィア映画。監督によっては、自分の手法にこだわりすぎて、時代に取り残されてしまうような人もいますが、バイオレンスシーンの演出方法などは進化し続けています。暴力的なシーン、遺体が放置されているシーンなどをを見ると、あまりのリアリティで気分が悪くなるほどです。しかも、音楽映画『ウッドストック』『ラスト･ワルツ』などロック系の映画にも関わってきているので、映画音楽の使い方も独特で、この作品でもロックファンをうならせるようなロックの名曲をＢＧＭに使用し、映像の魅力を際立てています。

仏教の解釈を抜いた脚本

　アメリカ映画なので仕方がないですが、オリジナルの『インファナル・アフェア』の脚本が、仏教的な概念をストーリーの基本にしている事に比べると、軽い作品になっています。ダライ･ラマの半生を、ドキュメンタリータッチで描いた『クンドゥン』も監督しているマーティン･スコセッシ監督なので、もしかしたらと期待していたのですが、全く仏教的な解釈はありませんでした。その分、映画のラストシーンにはオリジナルのオチが用意されています。

あの男が大統領になるまで・・・

　あの男とはジョン・Ｆ・ケネディの事を指していますが、意外な事に白人であるアイルランド系アメリカ人も、イタリア系に押され気味で、差別の対象になっていたような表現が多々出てきます。差別というとアフリカ系の黒人差別を考えがちですが、民族間の対立や差別などは、アフリカ系のみならず、様々な人種に及んでいるようです。映画のメインテーマではありませんが、アメリカの複雑な人種意識を浮き彫りにしています。

　オリジナルの『インファナル･アフェア』では、潜入している二人がオーディオファンで、オーディオショップでオーディオについて会話するシーンがあり、自宅にもハイエンドオーディオがセットしてあります。『ディパーテッド』では、二人の接触シーン自体がカットされていますが、映画の終盤で、コリン・サリバンの自宅で、ＣＤを再生するシーンではマッキントッシュのアンプなど、ハイエンドオーディオのステレオがセットされています。このワンシーンだけでオーディオファンである事を表現しているようです。

※マッキントッシュ・・・アンプ１台で１００万円前後のアメリカ製の高級オーディオメーカー

　映画の中で使用されている名曲はローリング･ストーンズ『ギミ･シェルター』、ピンク･フロイド『コンフォタブリー・ナム』、ロイ･ブキャナン『スウィート・ドリームス』、ドロップキック・マーフィー『アイム・シッピング・アップ・トゥ・ボストン』などが使用されていてサウンドトラックアルバムが発売されています。

※ロイ･ブキャナン・・・ジェフ･ベック、エリック･クラプトンなど多くのギタリストが敬愛するアメリカのギタリスト。

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