故郷の村を離れ、都会で働くルオの元に、父親が急死したという知らせが届く、久しぶりに帰郷したルオは、古い慣わしに従って父を葬りたいと願う母の姿を見て、故郷の村人なら誰もが知っているという、父と母の恋の物語を思い出していく・・・

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　２０００年アメリカ・中国合作。監督は、『あの子を探して』『至福のとき』のチャン・イーモウ。主演は、『グリーン･デスティニー』のチャン･ツィー。新任教師と村の娘の純愛を描いた恋愛映画。

　韓国の映画やドラマが日本では人気を集めるようになっていますが、中国、香港の映画は、もう２０年近く前からアメリカでも評価が高まり、ジョン・ウー監督、俳優のチョウ・ユン・ファなどがハリウッドに進出して成功を収めています。この作品もベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、ヨーロッパでも高い評価受けました。ですが、日本では、公開される中国映画も少なく、正当な評価がされていないような気がします。 実は、私も中国映画にはそれほど馴染みがなく、この作品も最近になって、やっと観たのですが、参りました。こんなにいい映画が中国にはあるのか！ちょっとショックでした。チャン・イーモウ監督の作品には、驚くほどいい作品が多いので、これからも見逃さないようにチェックしていこうと思います。

　この作品でも本当に泣かされました。映画が始まってから２０分もしないうちに泣けてきます。涙もろいほうかもしれませんが、中年のおっさんなので、恋愛映画を観て泣くという事は、最近ではほとんどなくなりました。恋愛映画を観て泣けるというのは、よほどの事がない限り無かったのですが、この作品には、やられました・・・恋愛の緊張感、もう忘れかけていた感情を思い出させてくれる作品だと思います。待ち伏せしても緊張して近くにいけなかったり、近くで相手を見たい為に遠回りしてみたり、思わず笑ってしまうシーン、身に覚えのあるシーンが出てくると思います。若い人には勿論、年配の方で、恋愛映画を観なくなってしまった方にも是非観ていただきたい作品です。

100人が担ぎに来た

　この映画は恋愛映画だと思いますが、それだけではなく、教師を40年間続けてきた父親の物語でもあります。悪天候の中、教え子達が次々に集まり恩師の死を悼み、棺を担ぎにやってくるシーンは、どれほど人に慕われていたかが分かるシーンで、名場面の１つだと思います。映画『イージー･ライダー』での「人の価値は棺に入ってはじめてわかる」という言葉をおもいだしました。

 

　 『ＨＥＲＯ』の監督としても有名なチャン・イーモウ監督の色彩感覚、芸術的センスの良さには、つくづく感心させられます。ＨＥＲＯを観た方なら、その芸術的な映像センスは既にご存知だと思いますが、この作品では自然の風景をそのまま絵画的なフレームで撮影し、色彩で四季の移り変わりを強調しています。自然の風景の美しさにも癒されますが、絵画のように美しい色彩にも、思わずため息が出てしまうほどです。この作品の他、チャン・イーモウ監督の作品では、『あの子を探して』『至福のとき』が必見です。

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