ニューヨークの市街で、保護観察中の麻薬の売人と刑事が撃ち合い、流れ弾によって黒人少年が死亡する事件が起こった。ニューヨーク市長のジョン・パパスは、すぐに、彼の補佐官であるケヴィン・カルフーンに事件への対応をさせるが、事件を調査していくうちに、マフィア、投資家、判事のつながりが明らかになり、カルフーンが見つけた証人たちが、次々に殺されていく。カルフーンが、さらに調査を進めていくと意外な事実が明らかになっていく・・・

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　１９９６年アメリカ作品。監督には『シー・オブ・ラブ』『冷たい月を抱く女』のハロルド・ベッカー、主演は『ゴッド・ファーザー』シリーズ、『セント・オブ・ウーマン・夢の香り』のアル・パチーノと、『ハイ・フェデリティ』『シン･レッド･ライン』のジョン・キューザック、そして、政治色の強い映画で紅一点、花を添えるのが『あなたに降る夢』『ゴッド・ファーザーPart�V』のブリジット・フォンダ。派手な映画ではありませんが、政治の裏側をリアルに描いた秀作です。

　政治的な皮肉を除けば、ユーモアの要素も少なく、ストーリーにマフィアが絡んできますが、アクションシーンも少ない映画で、淡々と政治の実情を描いた作品です。娯楽要素は少ないものの、政治家の良心と、政策をする上での妥協などをリアルに描き、政治の実態と、理想的な政治家像を考えさせられる映画です。政治的な駆け引きや、マスコミ対策など、色々な根回しをしながら、権力を維持しようとする政治家の姿は、笑うに笑えないリアルな演出で、ちょっと苦笑してしまうかもしれませんが、無理に恋愛的な要素を入れず、政治的な目的の為に、やむを得ず汚職に手を染めて行く政治家の姿が描かれているので、私利私欲しか考えていない日本の政治家に比べれば、ずっとクリーンに感じるかもしれません。

事を成そうとするたびに、人が来て邪魔をする

　市長や、議員など、責任の大きな役職に就く人物は、市民の為に政策を遂行する立場ですが、責任がお起きだけに、影響力や利害関係も大きくなり、自分の利益に反するような政策に対しては、必ず反対、抵抗を受けて、思うような政策が出来ないのが実情だと思います。でも、これは、政治の世界だけの話ではなく、私たち庶民に関しても同じことのように思えます。何かいいプランがあっても、必ず足を引っ張るような人間が出てきて、。邪魔をされているような気分になります。責任の重さは、人それぞれですが、みんな同じように感じているかもしれませんね。

 

白と黒の間　

　ドストエフスキーの小説『罪と罰』でも、大義の為なら、小さな悪は許されるのではないか？というテーマが語られていますが、大きな善を成す為には、政治家は悪いことをしなければならない、というのは、気が重くなります。結局政治家は、必ず灰色でクリーンな人間は一人もいないということになりそうで嫌ですが、この映画に出てくるカルフーンのような、志を貫くような政治家が出てきてくれることを期待したいですね。

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