ニューヨーク。失恋したばかりのエリザベスは、あるカフェに通うようになる。カフェのオーナー、ジェレミーと親しくなり、彼との会話で心を癒すエリザベスだったが、そんなある日、彼女の元恋人が新しい恋人といるところを見てしまい、ショックを受けたエリザベスは、アテの無い旅へ出てしまう。旅の途中に、様々な人々と出会いによってエリザベスは、人生について多くを学ぶのだが・・・。

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　２００７年、香港、アメリカ、フランス、中国合作監督は、ウォン・カーウァイ。出演は『こわれゆく世界の中で』『コールド・マウンテン』などのジュード・ロウ、『レオン』『ヒート』などのナタリー・ポートマン、『ナイロビの蜂』『コンスタンティン』などのレイチェル・ワイズ、そしてジャズ・シンガーとして有名なノラ・ジョーンズが出演しています。失恋のショックから旅に出た女性が、旅先で出会う人々との交流によって、人生を見つめ直して行く恋愛作品。

　香港出身のウォン・カーウァイ監督が、有名スターを起用した作品で、ハリウッド映画をは違う雰囲気を楽しめる作品になっています。ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、レイチェル・ワイズ、ノラ・ジョーンズと豪華なキャストですが、派手な作品ではなく、身近にありそうな恋愛や、友情、親子の絆などのテーマを、独自の映像美で仕上げています。凄い感動した！という作品ではありませんが、いつまでも余韻の残る美しいＢＧＭ、人間の繊細な感情表現を、ポップアートに透明感を与えたような独自の映像美で表現した映像の美しさは、しっとりとした感動を与えてくれます。豪華な出演者は、存在するだけでアートになってしまうような美しさがあるので、出演者の演技より、その美しい存在感を満喫できる作品で、映画初出演となったジャズ・シンガーのノラ・ジョーンズも、自然な演技で全く違和感を感じさせません。映像美、音楽、出演者の個性が見事に芸術作品として完成した名作ですが、主人公の恋愛だけがクローズアップされた作品ではないので、恋愛映画としてのインパクトは弱く、恋愛映画として観るより人間ドラマ、あるいは芸術作品として観た方がいいと思いますが、失恋や、失業など人生の転換期にさしかかっている人には、インスピレーションを与えてくれる作品です。それにしても、相変わらずジュード・ロウのファッションは、いやらしい程センスが良く、男性の方は、ファッションの参考になると思います。

あなたは、ケチだから運に見放されるのよ

　女ギャンブラーのセリフですが、これは人生訓になります。私の知っている限りでは、ケチな人に人望のある人はいません。ケチな人は、他人の事を考えず、自分さえ得すればいいと考えて行動するので、他人に嫌われる人が多いんだと思います。気前が良ければいいというわけではありませんが、自分の事しか考えない人間は、他人から嫌われ、いざという時に誰も助けてくれない状況になってしまいます。運に見放されるというよりは、孤立してしまうでしょうね。

人に勝てても運には勝てない

　運のいい時、悪いときの波は、人間の力では変えられないような気がします。運の悪いときにジタバタしても状況が悪くなるだけで、運が良くなるまで待って行動した方がいいのかもしれません。

 

他人は鏡のような存在ね

　数日間女ギャンブラーと行動を共にしたエリザベスですが、自分の車を手に入れて、ギャンブラーと別れます。美しい砂漠の映像、情緒的な音楽も印象に残りますが、他人の姿に自分を写し、自分を知る手がかりにできると悟ったエリザベスの穏やかな表情が心に残ります。

 

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音楽はライ・クーダー

　この作品の中で使われている音楽は、ライ・クーダーが担当しています。若き日のチェ・ゲバラを描いた『モーター・サイクル・ダイアリー』で使われている音楽も使用されています。 

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