1954年日本作品。監督は木下惠介、主演は、高峰秀子さん。1952年発表の壺井栄の小説を元にした感動のドラマ。
黒澤明監督の名作『七人の侍』と同じ年に公開されましたが、本作は、キネマ旬報ベスト・テンで第1位。国内では『七人の侍』よりも高い評価を得た名作です。日本が第2次世界大戦に参戦していく激動の時代をに生きた教師と生徒たちの物語が描かれているので反戦映画としても評価されていますが、教師と生徒の絆を描いた感動作としてオススメできるので政治、思想に関心が無い人にもオススメです。映画、ドラマでリメイクされている有名な作品なのでリメイク作品を観た方も多いと思いますが、やはりこのオリジナル作品が一番感動的だと思います。2015年の映画『くちびるに歌を』も、この作品がベースになっています。モノクロ作品ですし、アクションなど派手な映像はありません。純粋に感動の人間ドラマとして楽しみましょう。
今どうなんでしょうか?先生と生徒の絆が希薄になっているような気もしますが、私が高校生の頃にはまだ、生徒に真剣に向き合ってくれる先生がいました。私は学校が嫌いで、高校生の頃はほとんど毎日、遅刻、早退を繰り返していました。当然早退すると放課後に掃除当番をサボる事になります。それに激怒した担任の先生が、校内放送を使って名前を呼び職員室に来るようにと放送するんですが、これがほとんど毎日なので校内で悪目立ちして困りました。でも、その先生は悪気があってそうしているわけではなく、協調性を持つように指導してくれていたんですね。その先生とは仲が良くて、友人には、『お前ら本当の親子に見える』と言われるほどでした。高校を卒業してから手紙で連絡した唯一の先生でした。残念ながら、再会する前に、その先生が他界してしまい卒業してからは2度と会えませんでしたが、この映画を観ると必ず思い出します。いい先生と出会えて、指導してもらえて幸せだったと思います。ワジロー先生ありがとう!大好きだった思い出に残る教師がいる人には是非観てもらいたい作品です。
あんたが悪いんじゃない
人の運命は、その時代背景に大きく左右されてしまいます。そして、生まれた国、家庭環境など自分では変えられない事も多く、何か悪いことをした罰を受けるという事ではなく、厳しい状況に置かれてしまう人もいます。そんな時、こういう言葉で励ましてくれる人がいたら、どんなに嬉しいでしょう。
教え子の命を惜しんだだけです
戦時中は、少しでも反戦のニュアンスがある言葉で話せば、アカ(共産主義者)として非難される時代で、言いたいことも言えない空気に支配され自分の子供の命さえ心配する事ができなかったようです。戦争は、世の中を、こんな恐ろしい状態にしてしまいます。こんな事が起きないように願うばかりです。