戦国時代、毎年収穫の時期を狙って野武士の集団が、貧しい農村を襲い食料を奪っていた。ただでさえ貧しい暮らしに苦しんでいた村人は、、野武士の略奪を食い止めようと、腕利きの侍を雇って村を守ろうと計画する。しかし、村は貧しく、侍に十分な報酬を支払えない為にあきらめかけていたが、風変わりな侍たちが快く仕事を引き受け、野武士の集団と戦いの準備をはじめる・・・。

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　１９５４年日本映画。監督は『生きる』の黒澤明、出演は『男はつらいよ』の志村喬、『男はつらいよ・知床慕情』の三船敏郎、『男はつらいよ・柴又慕情』の宮口精二など。日本を代表する名作として世界中から高い評価を得ている時代劇の傑作。

　黒澤明監督の名を世界に知らしめた名作であり、世界中の映画監督に多大な影響を与えた傑作です。まず、ストーリーの面白さ、先の読めない展開に引き込まれてしまい、七人の侍を演じる俳優たちの個性が強烈な為、映画としてのエンターテイメント性が抜群です。そして、ロシアの文豪ドストエフスキーの原作などを好んで作品のテーマとして取り入れる黒澤明監督らしい哲学感、倫理観が反映されたセリフには、普遍の真理を学べるような重厚感があり、エンターテイメントとしての完成度の高さに加えて、メッセージ性の豊かさが、いつまでも心に残る感動を与えてくれます。１９５０年代の作品でモノクロ作品ですが、世界中の映画ファン、プロの映画監督にも愛される名作なので、絶対に観ていただきたい作品です。

　とにかく文句無しに笑って泣けて感動できるエンターテイメント作品の傑作ですが、やはり、一番印象に残るのは、三船敏郎さんの強烈なキャラクターでしょう。私は、今は離婚してしまって独身ですが、昔、妻と一緒にこの作品を鑑賞していた時に、元妻が私に向かって、三船敏郎さんが演じる菊千代を指して、『コイツ、お前と同じだな』なんて事をぬかしました。『こんなに酷くねーだろ』と答えましたが、デリカシーが無くて乱暴でという意味では似ているのかもしれません。んー、あと、子供に向かって『きれいな姉さんいないか？』と聞いた事もあるかな。もちろん、私は、三船さんのように器が大きいわけではありませんが、このキャラクターに共感が持てるという意味で、個人的に特に思い入れのある作品です。

他人を守ってこそ、自分も守れる

　自分勝手な行動で規律を乱す村人に対して、武士のリーダーである島田が怒りをあらわにします。黒澤監督は、ドストエフスキーの作品に大きな影響を受けているようですが、ドストエフスキーの作品は、聖書を元にした価値観で描かれている作品が多く、この言葉にそっくりなフレーズが聖書の中にもあります。自分の事しか考えない人間は、平気で他人を傷つけますが、自分のしたことは、結局自分に帰ってきます。他人を傷つけたり裏切ったりする人間は、いつか同じような目にあうんでしょうね。

こんなケダモノ作りやがったのは一体、誰だ？

　けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で間抜けで、人殺し・・・。農民も酷い言われようですが、結局、武士が農民をイジメるから、こんな風になってしまうんでしょうね。今の時代で考えれば、極悪な政治家や資本家にイジメられて、庶民が苦しみ、性格が悪くなってしまうという構図でしょう。格差が広がる現代の日本では、とても他人事とは思えないですね。

早く死にてえだよ

　現代社会でも格差が大きくなり弱い者イジメのような世の中になっていて、この世の苦しみに耐えきれず、死にたがる人間の気持ちもよく分かります。あの世にも苦しみはあるのか？というのはシリアスなテーマですが、答えは死ぬまでわかりません。死んでからも苦しみが続くなんて考えたくありませんね。

荒野の７人、ティアーズ･オブ･サンなどにも多大な影響を

　西部劇の古典的な名作『荒野の７人』は、この作品のリメイクです。また、リメイクではありませんが、ブルース･ウィリス主演の『ティアーズ･オブ･サン』も、この作品からの強い影響が感じられます。

三船敏郎という絶対的な存在

　生前の黒澤監督が、あるインタビューで、なぜ『七人の侍』のような映画を撮らないのか？と聞かれて、『もう三船みたいな役者が居ないじゃないか』と答えていましたが、確かに、三船敏郎さんのような俳優は居なくなりました。三船敏郎さんのような器の大きく凄味のあるキャラクターというのは演技で出せるものでは無いので仕方がありません。日本だけでなく、世界中の俳優の中でも、三船さんのように凄味のあるキャラクターは、クリント･イーストウッドとブルース･ウィリスぐらいじゃないでしょうか？

 

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