2006年日本作品。監督は、『君に届け』の熊澤尚人、出演は、『リリイ・シュシュのすべて』の市原隼人、『スウィングガールズ』の上野樹里、『フラガール』の蒼井優など。『花とアリス』などの作品で有名な岩井俊二が脚本で参加した恋愛映画。
岩井俊二さんの関連作品という事で興味を持って観ましたが、期待以上の秀作でビックリしました。個人的には凄く好きな作品で、もう10回以上DVDで楽しんでいます。主人公の二人が映像製作会社に勤務しているという設定で、映像制作会社の日常が生々しく描かれています。上下関係が厳しい体育会系の職場は大変そうですが、映像製作の仕事に興味のある人には参考になるかもしれません。主演の二人は演技派として有名なので、当然、演技力も申し分ないのですが、年相応のキャラクターなので演技をしているというより、本当にこういうキャラクターなんじゃないかと思えてきて、最後まで自然な雰囲気で楽しめる作品です。主演の二人の笑えるやりとりを観るだけでも十分に価値のある作品ですが、脇役に蒼井優さんを起用するなど贅沢なキャスティングで、エンディングの完成度が極めて高い作品としても評価できます。優柔不断で鈍感な親友に密かに思いを寄せる女の子の繊細な感情が描かれ、他人の気持ちを察することのできない鈍感な人間が、どれほど他人を傷つけてしまうか?というテーマで観ても興味深い作品でしょう。自分の鈍感さを自覚している男子、鈍感な男に恋をしている女子には、色々と参考になると思いますし、シリアスな恋愛映画としても、ラブコメとしても楽しめる名作としてオススメの作品です。
私は間違ってもモテるタイプでは無いですが、高校の頃に、自分の鈍感さに唖然とした事がありました。高校生の頃からロックバンドをやっていて、高校3年のライブの後に、同じクラスの女の子から私宛に花束が一つ届き、この作品の主人公と同じセリフ『なんで俺なの?』とつぶやいてしまいましたが、他の同級生の話だと、ずっと私に好意を持っていたけど、ずっと告白できずにいて、卒業前のライブに花束をくれたらしいのです。他に好きな女の子がいた私は、その気持ちはこたえることができず、それっきり会うこともありませんでした。この作品を観ると、必ず花束をくれた女の子を思い出してしまいます。で、相変わらず私は鈍感なままです。
他にいくらだっているだろ、死んでいい奴
あおい急死の報せを聞いて、元同僚がつぶやきます。実際、どうしてあんなにいい人が、早死にするんだろう?と疑問に思う事はよくあることです。と言うか、いい人に限って、必ずと言っていいほど早死にしてしまいますよね。死んだほうがいいんじゃない!と言われるようなイヤな奴の方が長生きして、いい人は早死にする・・・。そう考えると、長生きって本当に幸せなのかな?と考えてしまいます。長生きして浮世の苦しみが続くなら、早死にした方が幸せなのかも・・・。
女って何考えてるんだろ?
ほとんどの男性が、共感できるであろうセリフですが、もしかしたら、主人公の智也のように鈍感な男だから、女性の気持ちが分からないだけで、繊細な感情を読み取れる男性なら分かるのかな?とちょっと心配になりました。私は老年になっても未だに何を考えているのか理解できませんけど。