1979年アメリカ作品。『明日に向かって撃て!』で有名なジョージ・ロイ・ヒル監督作品。主演は『愛にふるえて』『トスカーナの休日』のダイアン・レイン。『トスカーナの休日』では、すっかり大人の女としての風格が出てきたダイアン・レインのデビュー作です。少年と少女の純愛を描いた作品では『小さな恋のメロディ』などと比較されますが、フランス、イタリアを舞台にしていて、情緒的な音楽の効果もあり、ヨーロッパ的で独特な雰囲気を味わえる恋愛映画の傑作です。
笑われるのを承知で書きますが、この作品は何度観ても泣けます。40歳を過ぎたオッサンが、少年少女の純愛映画で泣かされるのは、みっともないですが、『小さな恋のメロディ』とは違った感動があり、涙無しに鑑賞するのは不可能です。この作品の主人公は、子供ながらに高いIQがあり、哲学書を熟読するような大人びた子供で、すべて理論的に行動します。しかし、子供らしい感性が、一見無意味と思えるような行動に駆り立て、親、警察に追われながらも、二人で一つの事を成し遂げようとする姿には、心を打たれますし、クラシカルなギターの旋律も心に沁みます。『小さな恋のメロディ』のようにおとぎ話のようなエンディングで終わらない所はリアリティがあり、『アメリカン・ニュー・シネマ』のような切なさが残ります。この作品でデビューしたダイアン・レインの初々しい魅力、清楚なイメージの衣装は、アイドル性が抜群で、この作品以降、日本でもアイドルとしての人気が定着しました。そして、主人公の少年ダニエルが映画ファンで、ジョージ・ロイ・ヒル監督作品を中心に懐かしい名作の数々のショットも散りばめられているので往年の映画ファンにとっては、懐かしの映画を思い出せるというオマケも付いています。
必要なのは、勇気と想像力だ
実は詐欺師だった老紳士のジュリアンが、ローレンとダニエルに人生について、恋愛について語ります。ローレンとダニエルが信じていた伝説が作り話だと知って、二人は落胆しますが、『愛し合う二人が力を合わせて作り出すものは、不可能を超えて・・・』というジュリアンの言葉に、何かを感じ取り、行動に出ます。このセリフは、映画の主人公の二人だけでなく、この映画を鑑賞する全ての人に対するメッセージなのかもしれません。