厳格なパブリックスクールに通うダニエルは、ある日バレエの授業で踊るメロディに一目ぼれしてしまう。やがてメロディもダニエルに対して好意を抱き、一緒にいることが多くなるが、親友のオーンショーは友達を取られたような気持ちになり、ダニエルとケンカしてしまう。ダニエルとメロディは、周囲のひやかしにも負けず、『いつでも一緒にいたいから結婚する』と宣言、教師や親達は大混乱になるが、オーンショーをはじめとする友人達は、なんとか結婚式を挙げさせようとするのだが・・・

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　１９７１年イギリス作品。監督はワリス・フセイン、出演は、トレイシー・ハイド、マーク・レスター、ジャック・ワイルドなど。小学生の純愛を描いた恋愛映画の名作。

　日本では大ヒットして何度もテレビで放送された恋愛映画の名作ですが、意外な事に、この作品が大ヒットしたのは日本だけで、製作国のイギリス、アメリカでは、全く受け入れられず、興行的には大失敗だったようです。現在発売されているＤＶＤにも、製作者のデビッド・パットナムから日本のファンへの、感謝のメッセージが封入されています。好きだからいつも一緒にいたい！結婚したい！という子供ならではの素直な気持ちと、クセのある大人たちの醜悪さが両極端に描かれている為、子供の頃の純真さを思い出させてくれると同時に、純真さや正直さを失ってしまって、この作品に登場するような大人になってしまった事に唖然としてしまう人もいるかもしれません。主役の二人の可愛らしさ、純真さが一番の見所だと思いますが、二人を取り巻く友人たちとの友情も感動的です。また、主役のダニエル、メロディの存在感も抜群ですが、子供たちが、凄く元気で、子供ならではのエピソードの数々は、なつかしさが感じられ、子供の頃の気持ちがよみがえります。女の子は、やっぱり男の子より、ませてますね。墓地でミック・ジャガーのポスターにキスしてみたり、『あたたのことが好きなんだって』と暴露したり、男の子は爆弾作りに夢中だったりするんですけど・・・。小学生が主人公の恋愛映画なので、バカにして敬遠している人もいるかもしれませんが、大人になってからの方が感動できる要素も多く、泣ける作品としてもオススメです。この作品は日本でのみ人気のある作品ですが、この作品が日本で熱狂的に受け入れられた事を、日本人として誇らしく思います。日本人の感性の純粋さ、豊かさが証明されたような気がします。恋愛映画のファンだけではなく、ストレスで心が壊れそうになっている方には是非観ていただきたい作品です。

　２０代の頃はビデオテープで購入して何度も観ましたが、４０代を超えてから観ると若い頃よりも泣けるシーンが多くなりました。それだけ汚れた大人になってしまったという事かもしれませんが、自分の気持ちに正直に生きることの難しさが痛感できる作品としては、アメリカン･ニューシネマに通じる深さがあります。アメリカン･ニューシネマのように残酷なリアリティが無い分、楽しい気分で鑑賞できますが、複雑な気持ちになってしまう人も多いかもしれません。今さら子供の純真さを取り戻したいとは言いませんが、この作品を観ると、ほんの少しだけ、心がキレイになるような気がします。癒し系の映画は色々ありますが、特別な存在感のある名作だと思います。

　おかしな事じゃないでしょ

　ダニエルとメロディの素朴な疑問が、グサッときます。『一緒にいたいから結婚する。おかしな事じゃないでしょ』とダニエルは怒りをあらわにします。こんな当たり前で、基本的なことを、大人になると忘れてしまうんですよね。大人になると利害関係だとか、性の問題だとか、お金の問題だとか、色々と面倒な事情が増えて、自分の感情に素直に行動する事が、どんどん難しくなってしまいます。この映画では、ダニエルの両親が、ひどく醜悪に描かれています。大人の汚さと子供の純真さをくっきりと対照的に描く事で、大人への批判も込められているのかもしれません。こんな大人にならないように、この作品を年に１度は観るようにしています。

 

　この作品の脚本を書いたアラン・パーカーは、その後、監督として次々と問題作の監督を務めることになります。長い間、日本のテレビでは放映禁止になっていた『ミッドナイト・エキスプレス』、衝撃に結末が話題になった『エンゼル・ハート』、イギリスのロックバンド、ピンク・フロイドのアルバムを映像化した「ザ・ウォール」など、毒々しい作品が多く、近年の監督作『ライフ・オブ・デヴィッド・ゲイル』も問題作として記憶に新しいところです。

　ＤＶＤの特典映像には日本語吹き替え版が収録されています。こちらは、かなり画質が悪いのですが、昔テレビで吹き替え版を観たかたなら、映像の古さもなつかしく感じられ、楽しめると思います。この映画で使用されている曲が、ぎっしり収録されているサウンドトラックＣＤも発売されています。 エンディング曲の「ティーチ・ユア・チルドレン」は、ＣＳＮ＆Ｙの名盤『デジャ・ヴ』にも収録されているので、サントラは持っていなかったのですが、久しぶりに映画を観て、やっぱり、この映画のテーマ『メロディ』は、いつでも聴けるように持っていないといけませんね。心が洗われます。

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