アメリカ、ロサンジェルス、日本企業のビルの落成パーティが開かれた夜、シェリルという女性の死体が発見され、殺人事件としてウェッブ・スミス警部補は、日本人と日本の風習に詳しいジョン・コナー警部をパートナーに捜査を開始。監視カメラに犯人が写っていた為に、すぐに犯人が特定されるが、その映像は加工されたもので、別に真犯人がいることを突き止めるのだが・・・。

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　１９９３年アメリカ作品。監督は、『存在の耐えられない軽さ』『ライト･スタッフ』などのフィリップ・カウフマン、主演は、『ザ・スタンド』『小説家を見つけたら』などの ショーン・コネリー。アメリカに進出した日本企業のパーティーで起こった殺人事件の真相を探る刑事の姿を描いたサスペンスアクション。

１９８０年代からの日米貿易摩擦の影響により、ジャパンバッシングが激しくなり、大ヒットアクション映画『ダイ・ハード』などでも日系企業が標的になっていましたが、この作品も、露骨なジャパンバッシング作品として問題になりました。しかし、私たち日本人には分らない、海外から見た日本人のいい面も悪い面も学べるという点では、日本人にとっては価値のある作品かもしれません。日本人や日本社会に理解を示し、親日派の刑事として出演している ショーン・コネリーの存在感、説得力のあるセリフには感心させられますし、私たち日本人の美点として考えられている精神性を思い出させてくれるという意味では、『ラスト・サムライ』と同じように、日本人にとっては特別な価値があると思います。日本以外の国の人にとっては、日本の習慣、日本人の本質を知り、学ぶ事が出来るというメリットのある作品でしょう。『従業員を監視して能率向上をはかる』『忠誠心から下の者が罪をかぶる』なんて苦笑してしまうような言葉も出てききますが、日本人をよく観察した作品で、一般的には評価の低い作品ですが、日本人、特にビジネスマンにとっては、興味深い作品だと思います。殺人事件の捜査を通して日本人の本質、価値観を描いている作品ですが、犯人は誰なのか？というサスペンスの部分では、それほど意外性が無く、アクションも地味なので、サスペンスアクション作品の娯楽性の低いのが残念です。

暴力に訴えるものは、最初から敗者だ

　こういうセリフも、 ショーン・コネリーのような知性と凄味のある人間が言うと説得力があります。暴力で物事を解決しようとする人間は、真の意味で勝者とは言えないのかもしれませんね。

失敗を責めるより、まず失敗の原因を突き止めろ

　日本人の考え方として紹介されていますが、企業の方針としてだけでなく、個人の生き方としても教訓になると思います。失敗を非難したり、悩んだりするヒマがあったら、失敗の原因を探り、再発防止に努めた方が、会社でも個人でも、将来の成功の役に立つでしょうね。

 

俺のために、自分と娘さんを危険に・・・

　殺人事件の容疑者であるサカムラを自宅にかくまい、自分の身を危険にさらしたスミス警部。サカムラは、その恩に報いようと意外な行動に出ます。親しい人間でなくても恩義のある人間には、恩に報いようとする日本人の美徳が描かれているシーンで印象に残ります。人に受けた恩を忘れずに、自分を犠牲にしてでも、その恩に報いようとする姿には、今の日本人に失われつつある美しさが感じられます。

 

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アメリカと日本の検挙率

　アメリカと日本の警察の検挙率の差も紹介されています。日本の検挙率が約９０％に対して、アメリカが１７・５％というのは驚きの数字ですが、検挙率の数字の差より、ワイロによる汚職などアメリカの警察の現状が淡々と描かれているのが怖い気がします。

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