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ローマ帝国に挑んだ男・パウロ
 
SAINT PAUL
●監督
ロジャー・ヤング

●キャスト
ヨハネス・ブランドラップ,
トーマス・ロックヤー
バルボラ・ボブローヴァ
■ ストーリー ■

 

 イエス・キリストが処刑されてから約1ヶ月、使徒たちは人々に宣教する方法を苦慮していた。一方、キリストの死後、パリサイ派など宗教的権威を持った祭司たちは、イエス・キリストの教えに従う人々を迫害していた。パリサイ派の青年サウロも、キリスト教徒を迫害していたが、ある日、イエス・キリストから語り掛けられるという奇跡を体験し、罪を悔い改めクリスチャンに改宗し宣教活動を開始する。しかし、キリスト教徒を迫害していた過去の罪、パリサイ派からの迫害など、大きな重荷を負っての旅立ちだった・・・。

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■ レビュー ■

 

 2000年、イタリア・チェコ・ドイツ合作。監督はロジャー・ヤング。新約聖書の主要登場人物の一人であるパオロの半生を描いた歴史巨編。

 ヨーロッパ諸国の合作作品ですが、全体の構成は大きく前編と後編に分けられ、約15分程で映像がCM用にフェイドアウトする処理がされていて、監督も俳優も日本では馴染みの無い無名の人なので、テレビ映画として製作された作品のようです。一応、宣伝文句としては、『構想15年、制作費150億円を費やした・・・』とありますが、ハリウッド超大作のような完成度の高い特撮や、名優による鬼気迫るリアルな演技とかを期待すると、かなりアテが外れます。当時のイスラエルの様子を再現する為に莫大な予算が使われているのは分かりますが、俳優の演技も特筆するほどのものではないですし、使徒たちに霊の力が及ぶペンテコステの日の様子や、パウロが光と共にイエス・キリストの声を聞く有名なシーンも想像力に欠ける淡白な描写で、奇跡のシーンをどう描くのかを楽しみにしていたクリスチャンにとってはガッカリかもしれません。また、一部脚色されて聖書の記述と違う所やカットされている所もあるので、日ごろから聖書を読んでいるクリスチャンにとっては、完全な聖書の再現を期待して観ると違和感を感じる部分も多々あるでしょう。ちょっとボロクソに書いてしまったような気がしますが、新約聖書のパウロというクリスチャンがどんな人物だったかを知る入門編、ダイジェストとしては合格点の作品だと思います。

 ハッキリ言ってしまえば、新約聖書を元にした物語なのでキリスト教に関心の無い方、無神論者の方には面白い作品ではないと思います。ですが、もし人生に疑問を持っている人、真理を捜し求めている人には、大きな発見が得られる作品になるかもしれません。イエス・キリストを描いた映画、あるいはキリスト教をテーマにした作品は欧米では珍しくありませんが、本作は、イエス・キリストの死後にクリスチャンになったパウロを主人公にしていて、イエス・キリストの死後に弟子たちが、どうやって人々にキリスト教徒を広めていったのか?迫害者だった男がなぜクリスチャンになったのか?というテーマ、イエス・キリストの弟子たちに起きた奇跡などを知る事ができます。キリスト教徒の人にとっては、新約聖書のパウロのエピソードを映像で再確認して楽しめるという大きなメリットがありますし、何となくキリスト教に関心があるという人にとっては、キリスト教の素晴らしさを知るきっかけになると思います。

 

 昔の私だったら、聖書を読むのが面倒だから、DVDで内容を確認しようという目的で鑑賞したかもしれません。そういう目的であっても十分に期待に答えてくれる作品ですが、今では私もクリスチャン。本作の映画としての完成度はともかく、迫害にあってもイエス・キリストの言葉を述べ伝える弟子たちの姿、改心したパウロが布教活動を続ける熱意を映像で確認する事によって啓示を受けたような高揚感に満たされます。そして、何より、映像を楽しみながらイエス・キリストの重要な言葉の数々に癒されるという点でも、クリスチャンにとっては価値のある作品だと思います。キリスト教に関心がある初心者の方には、本作よりも、『新約聖書 ・ヨハネの福音書』がオススメです。まず、『新約聖書 ・ヨハネの福音書』を観てから本作を見たほうが理解が深まると思います。

 

主よ、この罪を彼らに負わせないでください

 ステファノの殉教シーンも描かれています。信仰を守り石打ちにされて殺されるシーンは心が痛みますが、自分を殺そうとする人々にさえ同情し愛を示すステファノの言葉は本当に衝撃です。これがキリスト教の真髄の一つだと思います。

小さき者

 サウロは、パウロという名前に改名しますが、『小さき者』という意味だそうです。イエス・キリストは、自分を低くする者が高められると説いており、福音書の中には、誰が一番偉いか議論する12使徒たちを諭す様子も出てきます。このパウロの『小さき者』という名前は、謙虚である事が、いかに重要かという事をあらわしているのかもしれません。

名シーン

愛は寛容であり親切です。妬まず、自慢せず、高慢にならず・・・

 新約聖書の中で最も有名な言葉の一つが、コリント第一13章4節に書かれている愛についての記述。パウロが、この言葉を語るシーンでは、なぜか涙が止まらなくなります。

 

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ガイド


ローマ帝国に挑んだ男?  

 邦題は、ちょっと大げさなタイトルになっています。本作では、パリサイ派のサウロがキリストを信じる人々を迫害していた頃から、クリスチャンとなりパウロと改名して熱心に布教活動をする姿が描かれていますが、ローマに到着して作品が終わるので、ローマで布教する様子などは描かれていませんし、DVDのパッケージの写真のような特撮映像も出てきません。なので、あまりハリウッド映画のような超大作として期待しないで観たほうがいいと思います。

 

★イエス・キリストを描いた作品


●新約聖書・ヨハネの福音書

●最後の誘惑

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