廃墟で殺人の前科がある男の死体が発見され、殺人鬼ジグソウによる犯行と断定され捜査が開始される。一方、交通事故で息子を失ったジェフは、拉致監禁されて、廃工場で目覚め、そこには、息子の死や、その後の裁判に関係した人間も捕らわれていた・・・。

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　２００６年アメリカ作品。監督はダーレン・リン・バウズマン、出演はドニー・ウォルバーグ、ショウニー・スミス 、トビン・ベルなど。猟奇殺人鬼による殺人ゲームを描いたサスペンスホラー作品のシリーズ第３弾。。

　世界中で大ヒットしたサスペンスホラー『ソウ』のシリーズ３作目。２作目の『ソウ２』でストーリー展開が大きく広がり、本作では、更に登場人物が増えて人間関係が複雑になります。前２作に比べて残虐なシーンも過激さを増している事はホラー映画ファンを満足させてくれると思いますが、命を粗末に扱う人間、利己的な人間への批判だけでなく、人を赦す事の重要性や、怒りによる行動が人を不幸にしてしまうというメッセージが加わり、深遠なテーマを痛感させてくれる作品になっています。人間性を試す為のゲームでは、前２作以上に残酷な道具、機械が登場し残虐性が増していて、怖いもの見たさという欲求を満たしてくれるので、このシリーズの残虐性に魅力を感じている方には、期待を裏切らない仕上がりです。ストーリー的には、新たな登場人物による展開の広がりと、１作目『ソウ』の謎が明かされるという流れになっていて、今後のストーリーの流れに期待が大きくなり、物語に引き込まれてしまいます。そして、キリスト教の教義の影響が強く感じられる『赦し』についてのテーマは、自分だったらどうするか？と考えさせられます。冷静に考えれば復讐行為が無意味なだけでなく、新たな報復を生み出してしまうと納得できても、仇を目の前にしてしてしまうと、感情を抑えられない人の方が多いような気がします。人間としての生き方について新たなテストが用意された事によって、前２作以上に深遠な作品になっていますが、頭蓋骨を開くシーンなどグロテスクな場面が論争の的になってしまった作品なので、グロテスクな映像が嫌いな方にとっては、かなり忍耐の必要な作品です。

人を赦すチャンスだ

　自分を苦しめた人間、愛する人を奪った人間を赦す事ができるか？。宗教的な道徳観がしっかりしている人でも、自分を裏切ったり傷つけた人間を赦すのは、かなり難しい事だと思います。『あなたがして欲しいと思う事を、他人に対してしなさい』というキリスト教の言葉の引用も心に残ります。

他者を救う寛大さがあるか

　芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』に出てくる主人公は、自分だけ助かろうとして他人を蹴落とし、自分も奈落の底に落ちてしまいますが、自分と同じか、それ以上に他人を優先するという気持ちを持っている人は、そんなに多くは無いと思います。キリスト教でも仏教でも自己犠牲に関しての教えがありますが、極限状態に置かれた時に、他者を救う事ができるかどうかで、その人の人間性が分かるのかもしれません。

ダーレン･リン･バウズマン

　１作目の『ソウ』で監督を務めたジェームズ･ワンは２作目以降は製作総指揮にまわり、シリーズ２作目から４作目までは、ダーレン･リン･バウズマンが監督を務めています。１作目は、少ない予算で作られたという事もありますが、２作目から４作目までの完成度の高さを考えると、このシリーズの監督として最もふさわしいのはダーレン･リン･バウズマン監督のような気がします。５作目で監督が交代していますが、彼の監督への復帰を望むファンも多いのではないでしょうか。

ソウ

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