医師のローレンス･ゴードンが、見覚えの無い古びたバスルームで目を覚ますと、足は鎖でつながれ、目の前には自殺した死体が転がっていた。そして、バスルームの反対側には、アダム・フォルクナーという男がゴードンと同じように足を鎖でつながれ、自分が監禁されている事を知りうろたえていた。二人はジグソウという殺人鬼によって捕らえられ、死のゲームの餌食にされようとしていたのだ・・・。

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　２００４年アメリカ作品。監督はジェームズ･ワン、出演は『リーサル･ウェポン』『カラー･パープル』などのダニー･グローバー、『パッチ･アダムズ』のモニカ･ポッターなど。猟奇殺人鬼によって密室に閉じ込められ、死の恐怖にさらされる２人の男を描いたサスペンスホラー。

　毎年優秀な新人映画監督を輩出しているサンダンス映画祭で上映されて絶賛され、世界的な大ヒットを記録したサスペンスホラー作品です。近年のサイコサスペンス作品と違って、猟奇殺人犯の異常な人間性や感性を描いた作品ではなく、デヴィッド･フィンチャー監督の『セブン』のような強烈なメッセージのあるホラー作品であり、低予算の作品ながら、独特の演出と映像手法も衝撃的でした。残虐な描写によるスプラッターホラーのジャンルで、人間の極限状態での行動や、人間の本性を暴きだすようなテーマを取り上げた事で、ホラー映画ファンだけでなく、深遠なテーマを好む評論家からも絶賛され、低予算で短期間で撮影された作品とは思えない作品になっています。サスペンス作品としての謎解きや、ホラー映画としての生々しい迫力を楽しむだけでも上質な作品だと思いますが、恵まれた環境で生まれたにも関わらず、麻薬によって自らの体を傷つけたり、自殺を図ろうとする人間や、他人を犠牲にして生きている悪人に対する批判が強く感じられ、先進国で物質的に恵まれた生活をしている多くの人にとって衝撃的な内容だと思います。残虐なシーンは、カラーフィルターを通したような色調でコラージュされているので、原色で観るよりはソフトな映像になるように工夫されていますが、密室型の展開で、息苦しく感じる部分も多く、ドロドロとした映像が苦手な方にとっては、かなり映像的には厳しいと思います。

多くの人間は、『生』に感謝をしない

　先進国では麻薬によって人生を台無しにしてしまう人間や、自殺する人間が増えています。現代社会の病理の犠牲者とも言えますが、限られた人生に感謝する気持ちがあれば、自分の命をムダにしないはずです。一度死にそうになった人間は、自分の命に感謝して生きられるようになるそうですが、死に直面するような機会がなければ、生のありがたみが分らない人も多いのかもしれません。

他人の苦痛を笑う奴らに怒る

　他人を騙したり裏切ったりして私利私欲を満たしているような人間の中には、他人に苦痛を与えるだけでなく、他人の苦痛を笑うような人間もいます。他人の痛みが分らない下等な人間だと哀れむ事もできますが、こんな人間に限って、苦労も無くのうのうと生きているものです。こんな悪人たちに苦しめられている人なら、ジグソウの怒りに共感が持てるかもしれません。

シリーズ化され続編が続く・・・

　サスペンスホラーとしての物語の面白さや、衝撃的な内容で世界中で大ヒットした本作は、続編が製作されシリーズ化されました。しかも、ヒット作に味をしめて無理やりストーリーを作ったというパターンではなく、タイトル通り、ジグソウパズルのピースを組み立てていくように、様々な登場人物が最後に全体像を形作るような展開で、結末が気になって仕方が無いという流れになっています。グロテスクな映像が苦手な方には厳しいかもしれませんが、一度観はじめると結末が気になってやめられなくなってしまいます。

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