過去２０年以上にわたり、人類は、どこかにいるかもしれない地球外生命存在を信じ宇宙に向けて信号を送り続けていた。そして現代、宇宙の知的生命体から、ある生物のＤＮＡのデータが送られてきた。地球外生命体の研究チームは、そのＤＮＡを元に人間に似た生命体を生み出す事に成功し、ジルと名づけられた生命体は、研究機関で育てられるが、人間の予想をはるかに超えた驚異的な成長スピード、身体能力が人間の脅威となると判断され処刑される事になる。しかし、毒ガスに危険を感じたジルは、研究所を破壊し逃亡してしまう・・・。

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　１９９５年アメリカ作品。監督は『リクルート』『１３デイズ』などのロジャー･ドナルドソン、出演は『ガンジー』のベン･キングスレー、『プラトーン』のフォレスト･ウィテカー、『隣のヒットマン』のナターシャ・ヘンストリッジ、『キル･ビル』のマイケル・マドセンなど。宇宙からの送られてきたＤＮＡ配列によって生まれた人類とエイリアンの混血種の恐怖を描いたＳＦホラー作品。

　宇宙人のＤＮＡと人間のＤＮＡを交配させた生物が生まれたら？という奇抜な発想で大ヒットしたＳＦ作品で、ベン･キングスレー、フォレスト･ウィテカーなどのオスカー俳優が出演したＳＦホラーの名作です。シリーズ化された２作目以降の作品はともかく、この作品では、ユニークなアイディアと、荒廃する世の中への皮肉や、男性にも負けないぐらい自立心が旺盛になった女性を象徴したようなユーモアも含まれていて、なかなか内容の濃い作品になっています。この作品でデビューしたナターシャ・ヘンストリッジのモデル級の美貌、抜群のスタイルのヌード、ベッドシーンが楽しめて、背筋が寒くなるようなホラー映画の恐怖も満喫できる作品として人気があり、このパターンは、２作目以降にも継承され、この作品の最大の魅力の一つになっています。しかし、主人公ジルの生き方は、自分が生きる為には、平気で人を傷つけるような現代人を風刺しているようにも感じられますし、ジルの感じている疑問は、私たち自身の人生に対する疑問でもあるような気がします。特撮に関しては、さすがに最近の作品に比べるとリアリティに欠けますが、社会風刺や哲学的な疑問が根底にあるストーリーは、１９７０年代の名作のような深みがあり、色気と恐怖を楽しむだけのＢ級ホラーかと思って敬遠している方には、是非観ていただきたい作品です。

　私が小学生の頃、先生に聞いた話ですが、ある機関が、宇宙のどこかにいるかもしれない知的生命体に向けて、メッセージを収録したカプセルを、宇宙に放ち、その中には、世界各国の言語での挨拶がレコードに収録されたそうです。この作品では、人間のＤＮＡの配列など科学的、医学的な資料が宇宙に向けられているという設定になっていて、ちょっと怖い気がします。様々な国の言語で、『こんにちは！』だけなら問題ないと思いますが、友好的なのか、敵対的なのか分らない相手に、自分の素性や弱点を教えてしまうというのは、致命的です。現実には、こんな事はしていないとは思いますが、地球外生命体に悪意があったら、大変ですね。

従順で制御しやすい？

　ジルを生み出した科学者は、従順で制御しやすいという理由で女性を選びますが、女性は従順で制御し易いんでしょうか？日本には大和撫子という言葉もあり、女性は、おしとやかで従順というイメージがありますが、現代社会では、女性も自立心が旺盛で行動的な人が多くなり、もはや従順で制御しやすいという昔のイメージは通用しないのかもしれません。

何でもありよ、戦争と恋愛はね

　女性の感覚が、本当にこんな感じだったら、ちょっと怖いですね。恋愛と戦争を並べて考えるほど女性にとって恋愛が重要なのかもしれませんが、愛する人を手に入れるためには、何でもする！というのは、やりすぎです。他人を攻撃したり、不幸にしてまで自分の恋愛を優先させるにはやめてもらいたいです。

シリーズ化されました。

　この作品は、地球外生命体と人間の混血種という衝撃的なテーマで大ヒットし続編も製作されました。２作目以降は、１作目の設定を引き継ぎながらも、お色気と恐怖を楽しめる娯楽作品としての色合いが強くなり、平凡な仕上がりになってしまい、１作目のような完成度を期待すると、ちょっと期待を裏切られます。お色気と恐怖が目当ての方には問題ないと思いますが、あまり期待しない方がいいでしょう。

 

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