内務調査部から汚職の嫌疑をかけられているニューヨーク市警の刑事ニック・コンクリンは、同僚の刑事チャーリー・ヴィンセントとランチををとっている時に、マフィアのボスが二人の日本人に殺害される現場に居合わせ、犯人の佐藤という日本人を逮捕する。殺人の現行犯での逮捕だったが、日本へ犯人を移送することになり、ニックとチャーリーは、佐藤を護送するために日本へと向かう。空港へ到着してすぐに現れた警官に佐藤の身柄を引き渡したつもりだったニックとチャーリーだったが、実は、その警官たちは佐藤の仲間で、佐藤に逃げられてしまい、佐藤の逮捕の為に日本に残ることになった二人は、大阪府警の松本警部補の監視の元で捜査を始めるのだが・・・。

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　１９８９年アメリカ作品。監督は『エイリアン』『プロヴァンスの贈りもの』などのリドリー・スコット、出演は『ウォール街』『ダイヤルＭ』などのマイケル・ダグラス、『アンタッチャブル』『ゴッドファーザーＰＡＲＴ�V』などのアンディ・ガルシア、そして、日本を代表する名優、高倉健、松田勇作などが出演。文化や価値観の違いから対立しながらも犯人逮捕の為に協力する日米の刑事の活躍を描くポリスアクション作品。

　日本ではカリスマ的な人気のある松田勇作が出演したハリウッド映画という事で話題になった作品で、名匠リドリー・スコットが監督を務め、マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアなどハリウッドの一流俳優が出演するなど豪華なアクション映画です。出演者の存在感、アクション映画を得意とするリドリー・スコット監督の演出力によるアクションシーンの迫力なども見所ですが、戦後、日本がアメリカ主導で民主主義国家になった事によって金権主義がはびこってしまったという日本の現状が暴き出され、資本主義に対する皮肉とも取れるメッセージが感じられ、日米の警官の違いの描写では、汚職が当たり前のアメリカの警察と、役所仕事的な堅苦しい規律に縛られながら仕事をする日本の警察のそれぞれのネガティブな要素を描くなど、なかなか深い作品です。日本人を描いたハリウッド作品では、私たちが観ると苦笑してしまうような変な日本語や漢字が出てき違和感を感じてしまう作品も多いですが、さすが、日本の巨匠、黒澤明監督を敬愛しているリドリー・スコット監督！私たち日本人が観ても、ほとんど違和感なく観る事のできる作品に仕上げています。ただ、日本側のスタッフの推薦なのか、映画の緊張感を台無しにしてしまうような出演者が何人かいるのが残念です。

奴はアメリカ人と同じさ

　アメリカの価値観を押し付けられた日本は、アメリカのように金の力しか信じないような人間が増えてしまったと、やくざの親分である菅井が、刑事のニックに語ります。民主主義が悪いとは思いませんが、私たち日本人は、知らず知らずのうちにアメリカの価値観をお手本に生きていて、金さえあればいいと考えるような人間が増えすぎているのかもしれません。アメリカの映画によって教えられるというのも皮肉な話ですが、日本の現状を気づかせてくれる言葉ではないでしょうか。

オン・ステージ！

　陽気な性格のチャーリーに誘われて、堅物の松本刑事がステージに上がって歌い始める場面は、重苦しい雰囲気の強いこの作品の中で、最も笑える場面だと思います。ワザとやっているのかどうか分りませんが、リズムがズレて調子ハズレの歌が、とにかく笑えます。

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松田勇作出演作品ですが・・・

　悪役の佐藤を演じている松田勇作は、リドリー・スコット監督が、『この１０年間で最高の悪役！』と絶賛する名演で、この作品の中で、最も強烈な存在感を示していますが、完全な悪役として出演しているので、日本の映画で主演していたハードボイルドのイメージを持っている松田勇作ファンにとっては、かなりイメージが違うと思います。そういう意味では、松田勇作ファンにとっては、賛否両論かもしれません。

 

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