かつて世界チャンピオンだったプロ・ボクサーのビリーは、７年前に妻のアニーと離婚してから、酒とギャンブルにおぼれて、競馬場の作業員としてひっそりと暮らしていた。しかし、そんな彼も、一人息子のT・Jを誰よりも愛し大切にしていた。ある日、偶然に離婚したアニーと再会したビリーは、自分の今の生活力の無さを実感し、息子の将来のために再びリングに上ろうとするのだが・・・。

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　１９７９年アメリカ作品。監督は『ロミオトジュリエット』のフランコ・ゼフィレッリ、出演は、『真夜中のカウボーイ』『ナショナル・トレジャー』シリーズなどのジョン・ボイト、『さすらいの航海』『俺たちに明日はない』などのフェイ・ダナウェイ、そして、この作品で伝説的な子役として有名になったリッキー・シュローダー。元ボクシングチャンピオンだった男が、息子の為に再びリングに上がる姿を描いた感動作。

　１９７０年代の作品で、今ではテレビ放映されることも無いので、若い世代の映画ファンには、なじみが無いかもしれませんが、親子の絆を描いた映画としては、ベスト５に入る傑作だと思います。テレビＣＭなどの予告では、涙無しには観ることの出来ない感動作！と、しつこく宣伝していたので、典型的なお涙頂戴ものと勘違いしてしまいましたが、ボロボロに泣けるだけではなく、安易に離婚して子供を傷つけてしまう大人に対する批判や、あきらめの悪い人間に対する皮肉、さらには、人間の行動の愚かさなども描かれた傑作で、ただ泣けるだけでなく、色々と教訓の多い名作です。さすがに、映像は古さを感じますが、ジョン・ボイトのボクサー役もなかなかリアルで、子役のリッキー・シュローダーの自然でわざとらしさの無い演技には、本当に感情を揺さぶられてしまいます。誰にでもオススメと言いたいところですが、離婚経験があり、子供と離れて暮らしている方にはオススメできません。この作品を観てしまうと、自分の子供を思い出さずにはいられない筈なので、かなりツライ気持ちになる事は間違い無いからです。また、自分に感情で離婚した方だと、子供の事を優先せずに行動してしまった自分に、自責の念を感じてしまうかもしれません。色々と教訓を与えてくれる作品ですが、子供に対して負い目のある方には、かなりツライ作品だと思います。

賭けで負けたら、あきらめないと

　ギャンブルに負けて往生際に悪い人、投資で出た損失を損失補てんさせる投資家などに聞かせてあげたいセリフです。子役のＴ・Ｊのセリフとして出てくる言葉なので、大人に向けた皮肉なのでしょうけれど、かなり辛口のスパイスで、ギャンブラーの方の中には、苦笑してしまう人もいるかもしれません。

彼にとっちゃ仕事なのに・・・

　ケンカを止めに入ったガードマンを殴ってしまったビリーが反省する場面も印象に残ります。ケンカの相手はともかく、仕事でケンカを止めようとした人間を殴ってしまうと、八つ当たりのようなものです。私も借金取りに対して、かなりケンカ腰で対応したり、怒鳴りつけたりしてしまいますが、彼らも仕事として対応しているだけで、私に対して悪意を持っているわけでは無く、悪いのは私なんですよね・・・、反省しなければ。

ママじゃない

　母親が死んだと思っていたＴ・Ｊは、アニーが母親だと認めようとしません。大人には複雑な事情があるなんて言われても、幼い子供にとっては、父親と結婚していない女性、一緒に暮らしていない女性が母親だと名乗り出ても納得できないのは当然です。父親と結婚して一緒に住んでいるのが母親だと言う当たり前の事が、ひどくショックな言葉に聞こえるのが不思議な気がします。

　リッキー・シュローダー

　リッキー・シュローダーは、この作品でゴールデン・グローブ賞を受賞。天才子役として有名になりました。、その後は、子役は大成しないというジンクス通り、あまり目立つ活躍はしていませんでしたが、現在は、『２４ -TWENTY FOUR』などＴＶシリーズで活躍しています。

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