ロックファンの少女ニッキーは、夜中にストリートでギターを演奏していたが、トラブルを起こして無理矢理精神病院に入れられてしまう。一方、ニューヨーク市長デイビッド・パールの1人娘パメラは、父親のウソに耐えられず孤独感にさいなまれていた。デイビッドは、そんな娘を心配して精神病院に入院させるが、そこでパメラは、ニッキーと出会い、ニッキーのボーイッシュな性格に魅力を感じた。二人は、病院をぬけ出し、ニュージャージーの廃墟に住み込みストリートライフをはじめるが、パメラが誘拐されたと思った父親のデイビッドは、警察に捜査をいらいしてしまう・・・。

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１９８０年アメリカ作品。監督は『エンパイア･レコード』のジョー･ジョンストン、出演は『ステラ』『若草物語』のトリニ・アルバラード、『レッドオクトーバーを追え』のティム・カリーなど。自由を求めて家出した孤独な少女とミュージシャン志望の快活な少女の友情をを描いた青春映画。

　マイナーな作品ですが、ロック映画、青春映画の名作です。ロックスターを目指す少女が、反骨精神を示して同世代の人々に影響を与えるというテーマは、一見ありそうなストーリーですが、以外に珍しいテーマです。反体制とか、そんな大げさなテーマではありませんが、１０代後半になれば、誰もが世の中の矛盾や、ウソばかりついている大人に従う事に疑問を持つようになり、反抗したくなる物です。そんな誰もが持っている欲求を体現してくれる人間に共感を持ち支持するのは、ごく自然な事だと思います。ティーンが、ロックスターに自分の理想の姿を重ねたり、共感したりして熱狂するのは当然の事なのです。日本で言えば尾崎豊さんだったり、アメリカならガンズン･ローゼズのアクセル･ローズなどが、そういった対象に該当すると思います。この作品も、そんな世の中のウソや矛盾に耐えられない若者の気持ちを代弁するスターを描いた作品です。なので、ティーンの方が一番共感できる作品なんじゃないかな？という気がしますが、ロック映画として、青春映画として、友情の物語、父娘の愛情の物語としても秀逸です。

　１９８０年の作品ですが、ＢＧＭに使用されているロックナンバーは、ロック界ではニューウェーブが台頭してくる直前で、まだ７０年代のロックフィーリングが強く、ニューウェーブというよりパンク系のサウンドが多く、主人公の反骨精神がうまく反映されています。そして、ニューヨークの下町の退廃的な空気、盗みや水商売で収入を得る主人公たちの姿なども生々しく描かれています。そして、見逃せないのが家出するパメラと父親デヴィッドの関係。権力者にありがちな傲慢さを持つ父親のデヴィッドも、娘の事となると、やはり一人の人間として悩み、娘への愛情を再認識していくという流れも、ごく自然に描かれていて作品の価値を高めています。エンディングには賛否があると思いますが、このエンディングが一番リアルな結末だと思います。一時期は、廃盤で入手困難になり、中古品の相場が１万円まで高騰しましたが、現在は２０００円以下で購入可能です。

確かだったと思っていた事も、永遠には続かない

　この作品のオープニングナンバーに、こんなシリアスな歌詞がでてきます。この地上の世界には、残念ながら永遠に続くものは存在しません。だからこそ、家族や友人、伴侶との時間を大切にしましょう。この作品のテーマではありませが、挿入歌として使われている曲も名曲が多いので歌詞も楽しめます。

クレイジーだと言われる

　主人公のニッキーは正直者です。思っている事、感じていることを口にするとクレイジーだと言われるのは、世の常です。反逆するか？無気力に生きるか？沈黙を守って耐え忍んで生きるか？。私たちが生きている世界は、そういう所なのです。

ブライアン･ジョーンズに捧げる

　ニッキーの演奏をラジオで演奏するシーンでブライアン･ジョーンズの名前が出ています。ロックファンならご存知だと思いますが、ローリング･ストーンズのリーダーでギタリスト、１９６９年に他界した伝説のミュージシャンです。ブライアン･ジョーンズの死因については、映画『ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男』で描かれています。興味のある方は、こちらの作品も観てはいかがでしょうか？

●ブライアン・ジョーンズ/ストーンズから消えた男のページへ

サウンドトラックはアナログ盤のみ

　残念ながらサウンドトラックは国内盤も輸入盤も発売されていません。アメリカのアマゾンならアナログ盤で入手可能です。収録曲は以下の通り。私はアナログ盤で購入しました。映画のオリジナル曲も収録されています。

●"You Can't Hurry Love"（ D.L. Byron）

●"Dangerous Type"（ The Cars）

●"Grinding Halt"（ The Cure）

●"The Night Was Not"（ Desmond Child & Rouge）

●"Pretty Boys"（ Joe Jackson）

●"Innocent, Not Guilty"（ Garland Jeffreys）

●"Flowers in the City"（ David Johansen & Robin Johnson）

●"Damn Dog"（ Robin Johnson）

●"Your Daughter Is One"（ Robin Johnson & Trini Alvarado）

●"Help Me!"（ Marcella Detroit (as Marcy Levy) & Robin Gibb）

●"Down in the Park"（ Gary Numan）

●"Talk of the Town（ The Pretenders）

●"Rock Hard"（ Suzi Quatro）

●"I Wanna Be Sedated"（ The Ramones)

●"Walk on the Wild Side"（ Lou Reed）

●"Same Old Scene"（ Roxy Music）

●"Babylon's Burning"（ The Ruts）

●"Pissing in the River"（ Patti Smith Group）

●Life During Wartime"（Talking Heads）

●"Take This Town" ( XTC)

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