自らを桑畑三十朗と名乗る浪人の男が、とある宿場町に流れ着いた。三十朗は、その宿場町で２組のやくざが抗争を続けていると聞いて、そのやくざと交渉して用心棒として一稼ぎしようと決めるが、実は、２組のやくざに言葉巧みに取引して、やくざ同士で戦わせようと企んでいたのだが・・・。

 

 

　１９６１年日本映画。監督は『七人の侍』の黒澤明。出演は、『男はつらいよ・知床慕情』の三船敏郎、『続・男はつらいよ』の東野英二郎、『春との旅』の仲代達矢など。凄腕の侍の活躍を描いたアクション時代劇。

　ハリウッドでもリメイクされた黒澤明監督の時代劇アクションの傑作。主演の三船敏郎さんの器の大きなキャラクターをうまく生かして、誰でも楽しめる娯楽作品に仕上がっています。三船敏郎さんの圧倒的な存在感と魅力が、この作品の最大の魅力であるのは間違いありませんが、キャスティングも見事です。複雑なストーリーで登場人物の多い作品なので、配役が大変だったと思いますが。登場人物のキャラクターがアニメのように個性的で、適材適所に個性的な名優を配して登場人物が覚えやすいように工夫されています。そして、時代劇アクションとしての見せ場も満載で、チャンバラアクションを楽しみ笑って泣ける娯楽作品のお手本のような作品になっています。

　無骨な主人公の三十朗が、見ず知らずの他人に情けをかけるストーリーが、本作の最大の魅力だと思いますが、助けられた人間が、何とか感謝の気持ちを伝えようと危険をかえりみない所も感動的な作品です。人様からの情け、親切に感謝し恩を返そうと努力するのが人の道ですよね。本作を観ると日本人に生まれて本当に良かったなぁとつくづく感じます。

 

どいつもこいつも、楽して儲けることしか考えねえ

　この作品は１９６１年度作品で、時代劇ですが、こんなセリフも当時の世相を皮肉ったものでしょうか。今の時代は、こんな風潮がもっとエスカレートして末期的な状況になっているような気がします。もっとも、額に汗して懸命に働いても資本家と国に搾取されてしまうんですから、マジメに働くのがイヤになるのも分かりますが・・・。

べっぴん過ぎた

　んー、美人とかハンサムとかならモテテいいなぁ、と羨む人も多いと思いますが、どうなんでしょうねぇ。あんまりルックスがいいと、変な人に目をつけられたり、好きでもない人に言い寄られたりとか色々と大変そうです。

哀れな奴は大嫌いだ

　名作『七人の侍』でも似たようなセリフが出てきますが、無法者の三十朗が、貧しい人々に情けをかけるシーンは、何度観ても泣けてきます。三十朗に感謝の気持ちを伝えたくてグズグズしている親子の気持ちもいいですね。

映画見るなら　⇒スカパー！おまかせプラン