元祖ツイン・リードギター
アンディ・パウエル(G.Vo)、テッド・ターナー(G.Vo)、マーティン・ターナー(B.Vo)、スティーブ・アプトン(Ds)の4人のメンバーで、1970年、アルバム『光なき世界』でデビュー。1972年発表のサードアルバム『百眼の巨人アーガス』は、イギリスヒットチャート3位に入り、イギリス、日本での人気が確立されます。イギリスのアーティストのほとんどがアメリカでの商業的な成功を意識しますが、ウィッシュボーン・アッシュもアメリカでの成功を目指してアメリカへ移住、ギタリストのテッド・ターナーが脱退しますが、新メンバーとしてローリー・ワイズフィールドが参加し『フロント・ページ・ニュース』を発表しますが商業的な成功は得られず、アメリカナイズされたサウンドはデビュー当時からのウィッシュボーン・アッシュのファンに不評でした。その後イギリスで活動を再開しますが、何度もメンバーチェンジを繰り返し、バンドとしての安定感がなくなり、人気も下降していきます。ポリスのドラマーであるスチュアート・コープランドの兄であるマイルズ・コープランドの企画でオリジナルメンバーで再結成し『NOVEAU
CALLS』を発表しますが、すべてインストルメンタルの曲だったせいもあり、大ヒットにはなりませんでした。近年は、オリジナルメンバーはアンディ・パウエルとなり、活動を続けています。
今では当たり前になったツインリード・ギターというスタイルを確立させたバンドとして有名で、このツインリード・ギターが、ウィッシュボーン・アッシュの最大のセールス・ポイントでしたが、リード・ヴォーカルが弱く、マーティン・ターナーをメインに、アンディ・パウエル、テッド・ターナー、ヴォーカルがサイドヴォーカルというスタイルで、2人で歌ってやっと1人前だった為、辛口の評論家からイギリス版のベンチャーズとか酷評された事もあります。しかし、イギリス的で春夏秋冬の季節感の感じられるサウンド、日本の俳句や和歌を思わせるような繊細な歌詞は、イギリスや日本では人気があり、イギリスを代表するバンドとして、今でも人気があります。
晴れわたった秋の空
日本の音楽評論の方がウィッシュボーン・アッシュのサウンドを秋の空に例えていた事がありましたが、ウィッシュボーン・アッシュの音楽性は、本当に繊細で日本人好みだと思います。カラッとしたアメリカ的なサウンドもいいですが、私たち日本人にとっては、四季の季節感や、侘び寂びといった感覚は、本当に自然に共感できる要素であり、故郷にいる安心感が感じられます。イギリス的なサウンドと言われるバンドは多いですが、これほど日本人の感性に訴えかけてくるバンドは、他には無いと思います。