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フリートウッド・マック
 
FLEETWOOD MAC

夢心地の音楽

1960年代後半、ピーター・グリーン(G)とミック・フリートウッド(Ds)、ジョン・マクヴィー(B)、ジョン・ジェレミー・スペンサー(G)の4人のメンバーでアルバムデビュー。この頃のバンド名はピーター・グリーンズ・フリートウッド・マックで、元ジョン・メイオール・&ブルースブルースブレイカーズのギタリストであったピーター・グリーンを中心にブルースロックのバンドとして、サンタナにカバーして大ヒットした『ブラック・マジック・ウーマン』などを含む名盤を残しますが、ピーター・グリーンがドラッグ中毒の為、1970年に脱退、その後、バンドの中心的なメンバーだったジェレミー・スペンサーもドラッグで精神面に異常をきたし、新興宗教にはまって脱退するなど、絵に描いたようなミュージシャンらしいトラブルで、バンドの主要メンバーを失ってしまいます。

 ジェレミー・スペンサー脱退後、ジョン・マクヴィーの妻クリスティン・マクヴィー、ギタリストとしてボブ・ウェルチが加入し、1972年には名盤『枯れ木』を発表、ボブ・ウェルチが音楽的なリーダーとなった、この時期は、ブルース色の強い音楽性は失われ、ロック色の強い音楽性へと変化していきました。アメリカツアーで人気が定着しつつあったフリートウッド・マックは、アメリカ・カリフォルニアへ移住し、活動拠点をアメリカに移しますが、ボブ・ウェルチの脱退によって、バンドの存続の危機に直面してしまいます。

 新メンバーのギタリストを探していたミック・フリートウッドは、バッキンガム・ニックスというカントリーユニットで活動していたリンジー・バッキンガムをオーディションで選び、バンドに迎え入れます。この時、バッキンガム・ニックスのパートナーであり恋人のスティービー・ニックスもオーディションに同行していて、ミック・フリートウッドに気に入られたスティービー・ニックスリンジー・バッキンガムを一緒にフリートウッド・マックに参加することになります。ドラマーでリーダーであるミック・フリートウッド、ジョン・マクヴィー、クリスティン・マクヴィー夫妻、そしてリンジー・バッキンガムスティービー・ニックス。このメンバーが、後に黄金期を迎える最強ラインナップになります。

 新メンバーを加えたフリートウッド・マックは、『ファンタスティック・マック』が全米ナンバー1を記録する大ヒット。クリスティン・マクヴィー、リンジー・バッキンガムスティービー・ニックスと3人の個性的なリードヴォーカリスト兼作曲家が、ひとつのバンドにいるという、豪華なメンバーは、それぞれの個性を生かした名曲を次々にヒットさせ、名盤『噂』は、当時では記録的な1000万枚というメガヒットアルバムになり、現在では1700万枚以上の売り上げになっています。その後も『タスク』『ミラージュ』『ライブ』『タンゴ・イン・ザ・ナイト』と次々に大ヒットアルバムを発表し、世界的なアーティストとして絶対的な地位を築きますが、恋人同士だったリンジー・バッキンガムと、スティービー・ニックスの破局、スティービー・ニックス、ミック・フリートウッドのドラッグ中毒など、成功の影で、プライベートな生活でのトラブルも多くなり、スティービー・ニックスとの関係が険悪になったリンジー・バッキンガムは、『タンゴ・イン・ザ・ナイト』を発表後に脱退してしまいます。

 リンジー・バッキンガムの抜けた穴は、あまりにも大きく、フリートウッド・マックは全盛期のイマジネーションが失われ、人気も下降していきます。スティービー・ニックスとクリスティン・マクヴィーがフリートウッド・マックとしてのライブツアーへの不参加を表明したり、後にクリスティン・マクヴィーが正式に脱退します。1997年に発表したアルバム『ザ・ダンス』は、黄金期のメンバー5人でレコーディングされ、世界中のファンに熱狂的に受け入れられ、全米ナンバー1ヒットになりますが、再度クリスティン・マクヴィーが脱退、2003年にクリスティンを除く黄金期メンバー4人による『セイ・ユー・ウィル』を発表、全米3位の大ヒットとなりました。

 マックはいいよね

ブルースロックのバンドとしてのフリートウッド・マックのファンにとっては、名盤『噂』の頃のメンバー、音楽性は、全くもってけしからん!という感じかもしれませんが、妖精のようなフワフワした魅力のある歌姫スティービー・ニックス、大和撫子を感じさせるような、やさしい女性の魅力に満ちたクリスティン・マクヴィー、ハンサムでプレイボーイ風の顔からは想像も出来ないほど、やんちゃでデリケートなリンジー・バッキンガムの音楽性。こんな個性的な音楽を一つのバンドで楽しめるというのは、本当に贅沢そのものだと思います。ロックスピリットがどうのとか、そういう理屈抜きで楽しめるポップでソウルフルな曲の数々は、ロックファンでなくても夢中になれる魅力があると思います。私の友人は、ほとんど気合の入ったロックファンが多いですが、聴いているロックのジャンルは様々です。でも、黄金期のフリートウッド・マックに対しては、どのジャンルのロックファンにも、受け入れられていて、黄金期の『ファンタスティック・マック』『噂』などのアルバムを聴くと『んー、やっぱ、マックはいいよね』、こんなセリフがよく聞こえてきます。夢見心地にさせてくれるような不思議な透明感、心がウキウキするような浮遊感が最大の魅力なのかもしれません。

 

 

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